不眠については、「単に、睡眠時間が短いもの」と思っている人もいると思いますが、睡眠時間の長短にかかわらず、翌朝起きたときに、睡眠に対する不足感が強く、身体的・精神的・社会生活上の支障があると判断される場合は、不眠になります。
不眠と不眠症
不眠は、その症状は人それぞれで、不眠を訴える人には、4つのパターンがあります。
その4つのパターンとは、入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害です。
『入眠困難』は、ベッドにはいってもなかなか寝つけず、入眠するまでに1時間以上かかってしまうといった場合は、これに該当します。
『中途覚醒』は、夜中の2時や3時に目がさめてしまって、それから眠れなくなってしまうというもので、不眠の症状を訴える人の中では、この中途覚醒を訴える人の割合が高くなっています。
『早朝覚醒』は、朝4時に起きてしまうなど、意図した時間よりも早く目がさめてしまって、そのまま眠れない状態というものになります。
『熟眠障害』は、熟睡したという満足感がなく、朝起きたときに睡眠不足を感じる状態です。
不眠と関係が深い5つのP
不眠の原因として、関係深い5つのPがあります。
それは、Physical、Physiological、Psychological、Psychiatric、Pharmacologicalです。
Physical(身体的原因)は、痛みや発熱、かゆみ、頻尿といった身体的要因です。
Physiological(生理学的原因)は、交代勤務や時差ボケといったものが該当します。
Psychological(心理学的原因)は、日常生活での出来事やストレスなどが関係してきます。
Psychiatric(精神医学的原因)は、抑うつ、不安障害、アルコール依存などが関係してきます。
Pharmacological(薬理学的原因)は、薬の副作用やアルコール、カフェインなどが原因となっています。
不眠の鑑別診断
不眠の鑑別診断では、睡眠ポリグラフィー検査が行われ、睡眠経過図を作成して、睡眠の持続性や構造の異常の有無などの評価が行われます。
睡眠ポリグラフィー検査では、脳波の他に、眼球運動やオトガイ筋筋電図などが記録されます。
脳波は、意識水準とよく呼応して変化しますが、目を閉じた安静状態になるとα波が出現し、少しまどろんだ状態になるとθ波が出てきます。
さらに軽い睡眠に入っていくと紡錘波が現れ、さらに深い睡眠になると脳波の振幅は大きくなっていき、周波数も3Hz以下のδ波が出てきて、徐波睡眠とも呼ばれます。
ここまでが、ノンレム睡眠と呼ばれる状態です。
さらに急速眼球運動が出現したり、筋肉の緊張が低下するものの、脳波はむしろ各政治に似ている状態になり、これがレム睡眠になります。
このレム睡眠のときに、よく夢を見るのです。