私たちの体を感染などの病気から守っているものと言えば、免疫力です。
免疫があることにより、身体の外から侵入してくるウイルスや細菌から体を守っています。
もちろん、この免疫力が落ちると、外敵の攻撃に耐えられなくなって、細菌やウイルスが体の中で増殖して、毒素などがばらまかれて感染症を起こしてしまいます。
免疫不全での免疫力低下
免疫不全の場合は、免疫力が極端に低下してしまっているために、普段は体に細菌やウイルスが入ってきても免疫力によって退治できる程度のものでも、容易に細菌やウイルスの侵入を許してしまい攻撃を受けてしまうのです。
こうした免疫不全のケースは、先天性疾患やエイズウイルス感染といったケースが考えられます。
ストレスにはご用心
免疫力ということを考えると、ストレスは要注意です。
特に、過度のストレスに長期間さらされていると、免疫力が低下することが証明されています。
過度のストレスを長期間受け続けると、副腎皮質ホルモンの糖質コルチコイドや、副腎髄質ホルモンであるノルアドレナリンが大量に分泌されてきます。
このことによってリンパ球などの白血球が減少してしまうので、免疫力が低下してしまうと言われています。
ストレスは、免疫の天敵とも言えるのです。
免疫力は高ければ良いというのは間違い
免疫力が低下すると、感染症にかかったり、がんになりやすくなったりします。
それでは、免疫力が高ければいいのかというと、答えはNoです。
普通は、免疫力は高いほうがいいのですが、免疫力が強くなりすぎても問題なのです。
免疫寛容とは
免疫に関わる細胞は、本来自分自身の身体や無害な異物に対しては、過剰に反応しません。
このシステムは、『免疫寛容』と呼ばれてします。
もし、この免疫寛容のシステムがうまくいかなかったら、アレルギーや関節リウマチといった自己免疫疾患が起こってしまいます。
異物が侵入すると、それを排除すべきTリンパなどが活性化されますが、それがいきすぎないように制御性T細胞と呼ばれるリンパ球も存在しています。
制御性T細胞というと、わざわざせっかくの免疫力を抑制してどうするんだという矛盾したイメージをもたれやすいのですが、免疫細胞同士がお互いをチェックし、アクセルとブレーキをコントロールし、感染症などを防ぐ一方で、いきすぎによるアレルギーや自己免疫疾患も上手にコントロールしているのです。
ところが、免疫寛容システムが崩れたり、制御性Tリンパ球の機能が低下したりすると、免疫細胞が自分自身の身体を攻撃して起こる自己免疫疾患やアレルギーが起こってしまうのです。
つまり、免疫力が低ければ感染症にかかりやすくなったり、がんが起こりやすくなりますが、高すぎてしまうと逆にアレルギーになったり、自己免疫疾患になってしまうのです。