味覚の好みは人それぞれで、味覚異常でもなければ、塩を舐めれば塩辛いと感じるし、砂糖を舐めれば甘いと感じます。
高齢になると味の感覚が弱くなる
高齢になると、味の感じ方が弱くなります。
塩辛いものは塩辛い、甘いものは甘いと感じるのですが、その感覚が弱くなってしまいます。
若いときに塩辛いと感じていた塩の量では、塩辛いとあまり感じることができなくなってしまいます。
もしかしたら、田舎のお爺ちゃん・お婆ちゃんの味付けが濃いというのは、そういうところにも原因があるのかもしれません。
当然、若いころと同じ塩の量だと、十分な塩辛さを感じないので、使用する食塩の量も増えてしまいます。
味覚というと、甘味・塩味・苦味・酸味・うまみがありますが、すべてにおいて、その感度が弱くなってしまいます。
若いころを1とした場合、高齢者は何倍の味が必要となるのか
若いころを1とすると、それと同じ味を感じるのに、何倍の味が必要になるかは次のとおりです。
- 甘味 : 2.7倍
- 塩味 : 11.6倍
- 苦味 : 7倍
- 酸味 : 4.3倍
- うまみ : 5倍
つまり、一番差がない甘味ですら、若いときの2.7倍の甘味がないと、若い時と同じように甘いなと感じなくなってしまっています。
塩味については、なんと11.6倍もの塩味がないと、塩辛いと感じなくなっています。
従って、歳をとったら、味付けは「これ結構、薄味いじゃない?」というくらいでも、ちょうどいいのかもしれません。
高齢者に対して、塩分を控えるようにと言っても、結構塩をかけてしまったりするのは、こうした加齢による味覚の変化も影響しているのです。
なぜ歳をとると味覚が変化するのか
味覚を感じる部分は、舌にある味蕾(みらい)という部分ですが、歳をとることによって、その生え変わりが遅くなってしまいます。
古い味蕾は、味センサーの感度が弱くなっているので、味も感じにくくなってしまいます。
さらに、高齢になるといろいろな薬を多く飲む方もいらっしゃいますが、こうした薬の副作用によっても味覚が弱くなってしまうことがあります。
歳をとっても味覚を保つには
歳をとっても、味覚を衰えさせたくないという場合は、しっかりと亜鉛をとることが大切です。
亜鉛が不足すると、味覚異常が起こってきます。
亜鉛の1日に必要な量は、男性で9~10mg、女性で7~8mgになっていますが、国民健康栄養調査によると、日本人の亜鉛摂取量は、年々減ってきています。
さらに、加工食品の中には、フィチン酸やポリリン酸類といった亜鉛を体外に排出するのを促進させてしまうものも添加されていたりします。亜鉛を
しっかり摂るために有用な食材
そこで亜鉛をたっぷり摂れる食材を列記すると、次のようになります。
- 牡蠣
- 蟹
- 牛肉
- レバー
- 卵
- チーズ
ちなみに、牛もも肉は薄切り2枚(100g)で7,5mgの亜鉛を摂取することができます。