栗は大きく分けると、天津甘栗に代表される中国ぐり、ヨーロッパぐり、アメリカぐり、日本ぐりの4種類があります。
日本ぐりは、縄文時代から食されていて、あく抜きをしないといけないドングリやトチの実よりも早くより食文化の中に登場してきていて、万葉集などにも記載があります。
私たちの生活と深い関わりを持ってきた栗は、俳句などにもたびたび登場し、松尾芭蕉や小林一茶、夏目漱石なども栗に関する句を残しています。
昔の日本ぐりは、小粒の芝ぐりでしたが、現在では改良されて、大粒で甘みや香りも強い品種となったものが流通しています。
小林一茶の栗の句
栗と言えば、栗拾いですが、この栗拾いに関連して、小林一茶が俳句を読んでいます。
『あくせくと起こさば殻や栗のいが』
栗拾いをしてて、落ちているいがをひっくり返してみたのだが、中が空っぽで栗はお留守だったという滑稽でほっこりするような句になっています。
あくせくと、心が急いでいるから、殻の栗のいがをひっくり返してしまうことになるもので、いい加減にやっていたら収穫量がかえって少ない。
あせらずにじっくりと見極めることも大切だということなのかもしれません。
優れた栗のビタミンC

9月に入ると、そろそろ市場に流通しだし、10月中下旬ごろまでが旬となっている栗には、意外とビタミンCが豊富に含まれています。
ビタミンCと言えば、優れた抗酸化作用があり、活性酸素の生成を抑えてくれ、さまざまな病気の予防にもつながります。
また、疲労回復や美肌効果も期待できます。
栗は普通、茹でたりして調理しますが、熱をかけることでビタミンCが壊れてしまうのではないかと思われがちです。
しかし、栗に含まれているビタミンCは、でんぷん質に覆われているので加熱によるビタミンCの損傷が少ないのです。
さらに、栗は疲労回復に役立つビタミンB1、ビタミンCとともに抗酸化作用をもつビタミンEも含んでいます。
体に良い栗の渋味
栗の美味しさの1つに、ほどよい渋味があります。
渋皮の渋味の元になっているのがポリフェノールの一種であるタンニンです。
このタンニンには、強い抗酸化作用とともに、殺菌作用もあります。
また、脂肪や糖質の吸収を阻害する働きもあり、コレステロール値や血糖値を低下させる働きもあります。
このため、栗ごはんなどを作る際には、わざと渋皮を少し残して炊くことで、タンニンが摂れ、脂肪や糖質の吸収が抑えられるとともに、味わいや香りも増してきます。
マンガンやカリウムの宝庫
栗には、マンガンやカリウムといったミネラルが豊富に含まれています。
マンガンは、糖質、タンパク質、脂質の代謝を促し、骨や肝臓、腎臓、膵臓などに多く存在し、不足すると骨がもろくなったり、生殖機能や皮膚代謝などにも影響がでてきます。
カリウムは、ナトリウムを排出させる働きがあり、血圧のバランスをとっています。
美味しい栗の見分け方
美味しい栗は、皮の表面がすべすべしていて、はりとつやがあります。
また重みがあるものが良く、穴が空いているものは、虫食いの可能性が高いので注意が必要です。
生のままだと虫がつきやすいので、ポリ袋に入れて冷蔵庫に保管するのが良いでしょう。
冷凍保存する場合は、茹でて冷ましてから冷凍庫へ入れるようにします。