痒みは、1660年に、「掻きたいという欲求を伴う不快な感覚」として、Samuel Hafenreffer によって記載されている皮膚・粘膜固有の
感覚で、1941年、Stephen Rothan の報告によって病態解析されました。
痛いが同側の筋の収縮による逃避行動を伴うのに対して、痒みは対側の筋の収縮を伴い、このことは、無視や植物、皮膚刺激物質などが皮膚に侵入したシグナルに反応して、それらを皮膚から除去する行動であると言えます。
痒みを主な症状とする病気
『痒み』というと、蕁麻疹や皮膚炎を連想する人も多いと思いますが、『痒み』を主訴とする疾患としては、まずはアトピー性皮膚炎や蕁麻疹といたアレルギー性皮膚炎が考えられます。
その他には、老化に伴う皮膚のバリア機能の低下で見られる末梢性の痒み、肝炎や腎不全、血液疾患、内臓悪性腫瘍などの全身性疾患でも痒みが見られます。
さらに、多発性硬化症や、神経疾患などによる中枢性の痒みも考えられます。
痒みは、主にC繊維という直径0.5μmの無髄神経に存在する受容体に、ヒスタミンといった起痒物質が結合することで、その刺激が脊髄後角を経て、中枢に伝えられ、かゆみ受容体を活性化することによって感じると言われています。
肝炎や腎不全、血液疾患といった全身疾患や、多発性硬化症などの中枢性のかゆみでは、オピオイドやカンナビノイドといった生体オピオイドの関与が指摘されています。
末梢性のかゆみと中枢性のかゆみ
痒みは、大きく末梢性のものと中枢性のものに分けることができます。
末梢性のものとしては、皮膚の障害や炎症に伴うもので、疾患としては、蕁麻疹、薬剤アレルギー、皮脂欠乏性湿疹、脂漏性湿疹、接触性皮膚炎、アトピー性皮膚炎、痒疹などがあります。
中枢性のものとしては、帯状疱疹後の神経痛や多発性硬化症、胆汁うっ滞、オピオイドによる痒みなどがあります。
中枢性の痒みは、腎不全や透析からくる皮膚の乾燥や発汗低下、血液疾患やリンパ腫からくる貧血や多血や紅斑に伴うもの、多発性興亜k商による四肢の知覚障害からくるものなどが考えられます。
痒みの場合はまずは原因や原因疾患の治療をしっかりすることが大切です。
特徴があるかゆみ
痒みの場合は、原因をしぼりこむために、掻痒感がいつ生じたいのか、経時的変化、薬剤や章持つとの関係、ストレスとの関係、アレルギー体質の有無などをしっかり問診し、まずはその原因をつきとめていきます。
特徴がある痒みとして、蕁麻疹の場合は、突然に境界明瞭な膨疹ができ、短時間で消失します。
咽頭浮腫を伴う蕁麻疹も似たような症状になるので、注意が必要です。
汗疹は、体幹の間擦部などに生じる小丘疹になります。