眼に投与する薬としては、大きくわけて点眼薬と眼軟膏剤があります。
点眼薬について
点眼薬は、結膜嚢などの眼の組織に適用される液状又は用時溶解あるいは用時懸濁して用いる無菌製剤になります。
点眼薬は、有効成分に添加剤を加えて、溶剤などに溶かして、あるいは懸濁させて作ります。
眼に入れるものなので、微生物による汚染に十分注意する必要があり、調整から滅菌までの操作は組成や貯法を考慮してできるだけ速やかに行われます。
水性点眼剤の溶剤には、精製水や適切な水性溶剤が用いられ、添付する溶解液には、滅菌精製水や滅菌した水溶性溶剤が用いられます。
非水性点眼剤の溶剤には、通例は植物油が用いられます。
点眼剤は、眼内に移行して、そこで作用を発揮します。
涙管へ移行した成分の一部は、消化管へ移行するため、それにより副作用が起こることおもあります。
点眼薬の眼内移行には、成分の油水分配係数、分子量、粒子径、濃度、溶液のpH、粘性など、いろいろな因子が影響を与えます。
眼の構造上、角膜上皮は脂溶性薬物を透過しやすく、角膜実質は水溶性薬物を透過しやすくなっています。
脂溶性や水溶性が極端に高い成分は、角膜透過性が低くなります。
眼軟膏剤について
眼軟膏剤は、結膜嚢などの眼組織に適用する半固形の無菌製剤です。
点眼剤に比べて適用回数が少なくて済んだり、涙液で希釈されにうっく、長時間作用させやすいといったメリットがあります。
眼軟膏は、ワセリンなどの基剤と有効成分の溶液又は微細粉末を混和して作ります。
眼軟膏に用いられる基剤は、ワセリンや流動パラフィン、プラスチベースなどがあります。
点眼薬の使い方について
点眼薬は、正しく使うことで最大の治療効果が得られますし、副作用の軽減にもつながります。
他の薬と同じように、処方された用法用量をしっかり守ることが大切です。
1日に定められた点眼回数、点眼時間をきちんと守り、定められた適切な条件で保管することも大切です。
点眼は、結膜嚢の容量が30μL程度であることから、1回につき1滴(30~50μL)が適量と言えます。
よく点眼薬を何滴も垂らす人がいますが、薬の無駄になるだけで無意味です。
点眼薬は、汚染しないように、点眼時には点眼容器の先が、涙液や角膜、睫毛に触れないように注意してください。
点眼後は、目を軽く閉じて、目頭を指で軽く押さえることで、鼻腔や咽頭に薬が流出してしまうのを最小限に抑えることができます。
複数の種類の点眼薬を使うときは、最初に点眼した点眼薬が、次に点眼する点眼薬により薄められてしまう可能性があるので、5分以上間隔をあけて点眼するようにすると、最初に使った点眼薬は十分に吸収され、さらに次に使った点眼薬との相互作用も回避できます。