慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome :CFS)は、原因不明の強い疲労が一般的には6ヵ月以上の長期間にわたり継続する病気で、日本では筋痛性脳脊髄炎(Myalgic Encephalomyelitis、ME)、 ウイルス感染後疲労症候群(Post-Viral Fatigue Syndrome、PVFS)とも呼ばれています。

カナダやヨーロッパの一部では、筋痛性脳脊髄炎(Myalgic Encephalomyelitis、ME)と言われていて、これは慢性疲労症候群では病気の実態を正確に表していないということでこの表記になっています。

意外にも多い慢性疲労症候群

日本医療研究開発機構(AMED)の「慢性疲労症候群に対する治療法の開発と治療ガイドラインの作成」研究班では、「慢性疲労症候群の実態調査と客観的診断法の検証と普及」ということで、慢性疲労症候群(CFS)に罹患している人がどのぐらいいるかということについて調べたところ、人口の0.3%つまり約36万人が罹患しているという結果がでました。

しかし、慢性疲労症候群はその認知度の低さゆえに、適切な診断を受けていないケースもあることが考えられ、うつ病や神経症、更年期障害や自律神経失調症等と誤診されているケースも多いと考えられています。

慢性疲労症候群になるとどうなるの?

慢性疲労症候群(CFS)になると、発熱・のどの痛みといった普通の風邪とよく似た症状が現れてきます。

そしてしばらくすると、首のリンパ節が腫れたり、筋肉痛が出てきて、突然激しい疲労に襲われて動けなくなってしまったりします。

睡眠障害も現れることがあり、1日18時間も寝た日が1週間続いたかと思えば、1日2時間しか眠れなくなってしまったり、しょっとした金属音に対して耳をふさがなければならないほど音に敏感になってしまったりします。

体を動かすことができずに、日常生活にも支障をきたすほどの疲労が半年以上にわたり続くようですと、慢性疲労症候群の可能性が高いでしょう。

慢性疲労症候群の場合、疲労があるからと血液検査をしても、異常は特に見つからないため、次に精神関係の病気が疑われたりもします。

慢性疲労症候群はどんな人がなりやすいの?

慢性疲労症候群(CFS)は、20代から50代のうちに発症するケースが多く、患者全体のうち女性が6~7割程度を占め、アトピー性皮膚炎や乾癬など免疫の異常によって起こる病気にかかったことがある人に起きやすい傾向があります。
慢性疲労症候群の人は、家族もアトピー性皮膚炎であったり、乾癬であったり、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患をもっているケースが少なくないです。

原因や発症のメカニズムはまだ明らかにされていませんが、過度のストレスやウイルス・細菌などの感染などのファクターが引き金になっているのではないかと考えられています。

また患者の血液・髄液の検査をしたところ、健常人に比べて炎症を引き起こす物質であるサイトカインが僅かに症状していて、またPET(陽電子放射断層投影法)による検査でも脳の各所に炎症を起こしていることもわかってきています。

慢性疲労症候群の診断基準は?

慢性疲労症候群の診断には、疲労の程度を表すPS値(パフォーマンス・ステイタス)が用いられます。

パフォーマンス・ステイタスは次のようになっていますが、慢性疲労症候群(PFC)の場合は、3つ以上となります。

PS値 疲労・倦怠の程度
0 倦怠感がなく平常の社会生活ができ、制限を受けることなく行動できる。
1 通常の社会生活ができ、労働も可能であるが、疲労を感ずるときがしばしばある。
2 通常の社会生活はでき、労働も可能であるが、全身倦怠感のため、しばしば休息が必要である。
3 全身倦怠感のため、月に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である。
4 全身倦怠感のため、週に数日は社会生活や労働ができず、自宅にて休息が必要である。
5 通常の社会生活や労働は困難である。軽作業は可能であるが、週のうち数日は自宅にて休息が必要である。
6 調子のよい日には軽作業は可能であるが、週のうち50%以上は自宅にて休息している。
7 身の回りのことはでき、介助も不要であるが、通常の社会生活や軽労働は不可能である。
8 身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助がいり、日中の50%以上は就床している。
9 身の回りのこともできず、常に介助がいり、終日就床を必要としている。

こんな時は要注意、その対応策とは

風邪のような症状がいつまでも長引いて、休んでもそれが改善しないという場合は、慢性疲労症候群の可能性もあるので注意したほうが良いでしょう。
慢性疲労症候群の場合は、この病気に関して取り扱っている医療機関を探して受診するのがよく、薬物療法が中心となります。
治療としては、免疫力を高める目的で、ビタミン剤やサプリメント、また漢方薬(補中益気湯・十全大補湯・六君子湯・人参養栄湯等)が処方されます。