虫歯・歯周病を考えるカギになるバイオフィルム | 健康トピックス

歯の病気を2つ挙げろといえば、大抵の人が、虫歯と歯周病を挙げると思います。

これらは原因菌による感染症とも言えます。その鍵をにぎっているのが、バイオフィルムの管理です。

虫歯も歯周病も治癒はしても完治はしない

歯に関連した2大感染症といえば、う蝕 (虫歯)と歯周病になります。
この2つの病気は完治することはありません。

えっ!? 虫歯って治療してるし、削って詰めたら治るんじゃないの? 歯周病だって歯石をとったら治っていくんじゃないのと思っているならば、それは間違いなのです。

虫歯の原因となるう蝕菌も、歯周病を引き起こす歯周病菌も実は口の常在菌です。

口内から追い出すことはできないのです。

これは何を意味するかというと、たとえ歯科治療が一段落したとしても、それは臨床的治癒、つまり寛解したにすぎないのです。

従って、毎日の歯磨きと定期的な歯科受診を怠ると、虫歯も歯周病は再発してしまうのです。

そういったことから、虫歯も歯周病も完治することはないのです。

バイオフィルムとは

歯の健康を守るには バイオフィルムの管理という考え方が重要になってきます。

『バイオフィルム』という言葉を聞いたことがある人もいると思いますが、『バイオフィルム』とは、プラークつまり歯垢のことです。

口腔バイオフィルムは細菌の住みか

『口腔バイオフィルム』は、一言でいうと『細菌の住みか』と言えます。

口腔、つまり口の中には700種類の細菌が住んでいるといわれています。

その代表選手が、虫歯の原因菌であるミュータンス連鎖球菌ですが、これは 1歳半以降に主に家族、特に母親からの唾液感染によりバイオフィルムに定着しはじめると言われています。

一方、歯周病の原因となる歯周病菌が定着しはじまるのは10歳以降となっています。
最も病原性が高いとされている歯周病菌の Porphyromonas gingivalis は思春期の18歳以降から定着しはじめてきます。

思春期になってくると、唾液感染の相手はパートナーつまり、彼氏・彼女や配偶者となってきます。

バイオフィルムの菌叢は十人十色

口腔バイオフィルムの菌叢は十人十色です。
中には、虫歯原因菌も歯周病菌もいない人もいます。

また、虫歯原因菌と歯周病菌は住むところが違う、つまりいるところが違うのです。
虫歯原因菌は、歯肉縁(歯ぐきの端)の上のバイオフィルムに住みつきます。

一方、歯周病菌は歯肉縁の下のバイオフィルム、歯の根と歯ぐきの隙間の部分に住みつきます。

どうしてこのようなことが起こるかというと、これは細菌の性質上の問題、つまり細菌が好む環境が違うのです。

歯肉縁の上と下では、酸素濃度・pHが全く違ってます。

虫歯原因菌に代表される歯肉縁上バイオフィルムの細菌はショ糖などの発酵性糖質を栄養としますが、歯周病菌に代表される歯肉縁下の細菌は宿主由来、つまり人間のタンパク質を栄養とします。

このことからもわかるように、甘いものを食べることは、虫歯には関係してきますが、歯周病に関しては直接的には関係しないのです。

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