下肢静脈瘤は、膝の裏やふくらはぎにボコボコとしたコブができてくるものですが、70歳以上になると、4人に3人はこの下肢静脈瘤だと言われています。
下肢静脈瘤とはどういった病気
下肢静脈瘤とは、読んで字のごとく、下肢(足)に静脈の瘤(コブ)ができる病気です。
このコブは、立っているときに目立ち、横になていると目立たないのが特徴です。
外見的には、膝の裏やふくらはぎにボコボコとしたコブができてきたり、細い血管が赤紫色に透けて見えてきたりします。
また、午後から夕方になると、足が重だるくなってきて、靴下のゴムの後がついたりします。
どうしてコブができるのか
コブは、足の静脈が血液の圧力によって引き伸ばされることでできてきます。
コブのようになったり、場合によっては血管が全体的に太くなってヘビのようにうねった状態になってきたりします。
さらに症状が進行してくると、足のむくみや重だるさ、痛みといった症状につながっていき、長時間の立ち仕事がつらくなってきたりもします。
もっと悪化すると、皮膚炎が起こってしまい、さらには潰瘍になってしまって痛む場合もでてきます。
意外に多い下肢静脈瘤の患者
下肢静脈瘤の人ってどのくらいいるのだろうかということで、日本人を対象にした調査があります。
それによると、15歳以上の人の約43%に下肢静脈瘤があるとされています。
15~29歳では13%、30~49歳では55%、50~69歳では61%、70歳以上になると75%の人が、下肢静脈瘤であるという報告があります。
<参考:脈管学 28:415-420, 1989>
なぜ下肢静脈瘤は起こるのか
心臓から動脈を通って血液が送り出されていき、静脈を通ってやがて心臓に戻ってきます。
勢いが良い心臓から出たてのところを川の上流にたとえると、静脈はいわば流れがゆるやかになった平地の下流にたとえることができます。
特に心臓より下にある下肢の静脈の場合、血液は重力に逆らって戻らなければなりません。
そのために、脚では、歩いたりしゃがんだりすることで、ふくらはぎの腓腹筋やヒラメ筋が収縮と弛緩を繰り返して、脚の静脈を圧迫するようなしくみになっています。
これがポンプのような役割をして足の血液を心臓のほうに戻してくのですが、これだけでは不十分で、重力に逆らえず血液が逆流してしまったりします。
そこで静脈には逆流防止弁がついていて、血液が心臓に向かって流れるときだけ開き、通過すると閉じて、流れた血液が逆流しないような仕組みがあります。
この弁が壊れてしまうと、血液がスムーズに心臓に戻れなくなってしまうのです。
下肢静脈瘤かどうかセルフチェックしてみよう
自分が、下肢静脈瘤なのかどうか、簡単なセルフチェックをご紹介します。
次の項目の中で、2つ以上あてはまるといった場合は、下肢静脈瘤の可能性があります。
あてはまる項目が4つ以上ある場合には、血管外科などを受診してみることをオススメします。
□ 足首やふくらはぎの血管が浮き出て、ボコボコしている
□ クモの巣のように細い血管が見える
□ 寝ているとき、足がよくつる
□ ふくらはぎや足がほてる、熱く感じる
□ 夕方になると靴下のゴムなどの跡がついているなど足にむくみがある
□ 夕方になると足が重い、だるい、疲れやすい
□ 足の皮膚が茶褐色になっている
□ 足の皮膚が硬くなっている
□ 足に湿疹やかゆみがある
□ 近親者に下肢静脈瘤の人がいる