医薬品業界独特の職種であるMR(エムアール)は、Medical Representativeの略で、日本語では、医薬情報担当者と呼ばれています。
医薬品業界ならではのスペシャリスト
日本の製薬会社では、MRと呼ばれている人達が約6万人働いています。
これは、製薬会社社員の約4人に1人はMRということになり、まさに製薬メーカーを代表する職種とも言えます。
MRは、医薬品情報の提供を通じて、医薬品の安全な使用を促進する役目を担っています。
特に、医療機関に出向き、医師・看護師・薬剤師などに、自社の医療用医薬品を使用してもらえるようにプレゼンをして働きかけるのが主な仕事ですが、こうした自社医薬品のアピールだけではなく、既存の医薬品の臨床データや副作用情報など、いろいろな医薬品情報の提供を行いますので、当然、医薬品や医療に関連した専門知識が必要になってきます。
多くの製薬メーカーは、MRが所属している部署は営業部などになっていますので、MR=営業職というイメージがありますし、実際にそう思っている人もかなり多いと思います。
しかし原則論を言ってしまえば、医薬品の適正な使用と普及に関わる情報提供がメインの仕事で、販売促進はその結果としての位置づけということになりますので、他の業種の営業とは、少し違った特徴を持っています。
医師が処方する医薬品の情報を提供した結果、それが医薬品の販売増につながっていくというのが、本来のスタイルと言えます。
MRと医療機関
医薬品の情報提供に関しては、医療機関を訪問して、実際に医薬品を処方する医師や病院薬剤部、さらには保険薬局などにも足を運び、医薬品に関連した情報提供を行うとともに、同時に医師や病院の薬剤部などから、実施に患者に医薬品を使用した場合の安全性や有効性に関する情報の収集も行っています。
医療用医薬品は、市販後調査が法的に義務付けられていて、そうした調査においてもMRは重要な役割を果たしています。
さらに、医療機関を訪問して医師や病院薬剤部から収集した情報を、自社の中で報告し、集めた情報を分析して、その結果を医療機関にフィードバックしたりします。
スペシャリストとして求められる高い倫理性
医薬品は、製品と情報が一緒になって、はじめて価値がある商品になるのですが、特に医療用医薬品は、適正に使用していただくことが、患者の命にもかかわる重大な問題になってきます。
セールスという観点からすれて、当然メリットだけを強調したいところですが、医薬品のメリットだけではなく、安全な使用につながる副作用に関する情報などもしっかりと適切に伝える義務があります。
こうしたことからMRには、医薬品や医療に関する専門知識はもちろんのこと、スペシャリストとして高い倫理性が求められるのです。