化学合成微生物って何?

『化学合成微生物』というと名前からしてどんな微生物なんだろうと思う人もいると思いますが、一種類の微生物を指すのではなく、同じような特徴をもってものを相称していいます。

化学合成微生物とは

化学合成生物(Chemotroph)は、太陽光エネルギーを利用する光合成生物とは異なり、硫化水素やアンモニアといった無機物などを酸化すること、つまり周囲環境にある電子供与体の酸化によってエネルギーを手にいれている微生物の総称になり、『化学栄養生物』と言われることもあります。

ほとんどは真正細菌か古細菌で、熱水噴出口のような極限環境に棲息していて、エネルギー源として、硫化水素、硫黄、酸化鉄(II)、水素分子、アンモニアなどを利用しています。

『化学合成微生物』は、エネルギー源として利用するものによって、メタン菌、メタン酸化菌、硫黄細菌、水素細菌、鉄酸化菌、硝酸菌、亜硝酸菌、アナモックス菌などに分類され、その特徴としては、劇的に成長が早いことがあげられます。

化学合成微生物のはたらき

化学合成微生物である鉄酸化細菌は、鉄分を多く含む水や土壌に生息していて、鉄を酸化することでエネルギーを得て、そこから有機物を合成しています。

田んぼや池などで赤茶けた沈殿を見かけることがあると思いますが、鉄酸化細菌が2価の鉄イオンを酸化して3価の水酸化鉄にすることで赤茶けた沈殿になっています。

また、化学合成微生物は光合成を必要としないので、太陽光が届かない深海において、海底火山や生物の死骸から発生した水素や硫化水素を使って炭水化物を作り出し、それが他の生物の栄養源になっているといった役割も果たしています。

なぜ無機物から有機物が作れるのか

化学合成微生物の不思議として、なぜ無機物から有機物が作れるのか興味あるところです。
硫黄細菌は硫化水素と酸素から硫黄と水を作り、その時に化学エネルギーを得ます。

また亜硝酸菌は、アンモニアと酸素から二酸化窒素と水素と水を作り、その時にエネルギーを得ます。

硝酸菌は、二酸化窒素と酸素から硝酸イオンを作りだし、その時にエネルギーを得ます。

化学合成微生物は、このエネルギーを使い、カルビン・ベンソン回路を使って有機物を作り出しているのです。

このカルビン・ベンソン回路は、光合成で空気中の二酸化炭素を取り込み、それを有機物に変えている反応と同じものです。

つまり有機物の炭素は二酸化炭素からきていて、二酸化炭素を取り込むことで、それを有機物に変えているのです。

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