同病異治・異病同治 | 健康トピックス

漢方医学では、『同病異治(どうびょういち)』『異病同治(いびょうどうち)』という言葉があります。

漢字をみると大体の意味が推測できると思います。

同病異治

同病異治(どうびょういち)は、字から同じ病気なんだけど治療法が違うという意味ではないかと想像できます。

実際に、漢方では、個人個人の身体の状態や体質、証に応じて漢方薬が処方されます。

西洋医学では、対症療法として、この症状であればこの薬といった考えですが、漢方では、同じ病気であっても一人一人の証に合わせた処方がされます。

つまり同じ病気でも証が異なっていれば人によって違う処方がされるということで、このことを『同病異治』と言います。

同じ風邪であったとしても、その人の証や体質、状態によって、葛根湯が使われたり、麻黄湯が使われたり、小青竜湯が使われたり、いろいろな漢方薬が処方されます。

ここが漢方薬の特徴的なところでもあり、同じ風邪の患者でも患者の体質や証によって、桂枝湯が処方されたり、葛根湯が処方されたりするのです。

異病同治

異病同治(いびょうどうち)は、同病異治とは逆で、まったく異なった病気であっても、同じ漢方薬が処方されることがあるということです。

一見全く関係がないように見える病気に対して同じ漢方薬が処方されるのは、その人の病態を示す証が同じでだからです。

異病同治の例をあげると、葛根湯は通常風邪で処方されることが多い漢方薬です。
しかし、葛根湯は、風邪以外にも、肩こりや中耳炎、蕁麻疹にも処方されることがあります。

漢方薬と民間薬

漢方薬と似たようなものに民間薬があります。

しかし、漢方薬と民間薬には決定的な違いがあります。
それは、漢方薬は生薬の組み合わせで使っていますが、民間薬は単一のものを使っています。

漢方薬にも、甘草湯のように甘草という一つの生薬だけを使っている処方もありますが、ごく例外的なものです。

ほとんどの漢方薬は、複数の生薬を組み合わせることで、効果を高めたり、副作用を軽減したりという考えのもの処方されていて、生薬の複合効果で治療していきます。
漢方薬には、君臣佐使(くんしんさし)の放送によって組み合わせれていて、方剤として処方されるのです。

民間薬は、センブリやゲンノショウコといったものが有名ですが、いずれも単一の薬草を用いて治療していきます。

君臣佐使

君臣佐使の『君』は君主、『臣』は大臣、『佐使』は使用人になります。
つまり漢方方剤の中で、実際に働いて薬理作用を発揮するのは、佐使薬になります。

佐使薬
は、いわゆる使用人で副作用があったりするので、その副作用を防ぐだめに君主である君薬が調整し、本来の薬理作用が働くのを見守っていきます。

臣薬は、いわゆる君主と使用人の間をとりもち調整する働きのものとして、佐使薬の作用の方向を導き暴走を防ぐ働きがあります。

例えば、麻黄・桂枝・杏仁・甘草の4つの生薬からなる麻黄湯は、佐使薬が麻黄、臣薬が桂枝・杏仁、君薬が甘草になっています。

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