嗅脳と大脳辺縁系 | 健康トピックス

嗅脳というと、その漢字から、においの感覚に関係するのではないかと思われますが、実際のところどうなのでしょうか。

嗅脳や大脳辺縁系は押しやられた

人間がサルから進化をとげてくる過程で、高次機能を担う大脳新皮質がどんどんと発展してきました。

その結果、系統発生的に古い皮質になる嗅脳や大脳辺縁系は、大脳の最下部や内部に押しやられたのです。

嗅脳の場所と働き

嗅脳(きゅうのう)は、脳の底面で、前頭葉の下に位置していて、嗅葉(きゅうよう)とも呼ばれる小さな部位です。

しかし、系統発生学的には、大脳はこの嗅脳から発達したと言われていて、もともとは脳の基本構造の一角をなす重要な部分です。

ヒト以外の動物では、この嗅脳は発達しているのですが、ヒトでは小さく退化してしまっています。

嗅脳は何をしていえる部位かというと、鼻にある嗅細胞(きゅうさいぼう)から伝えられた嗅覚情報を処理しています。

鼻の嗅細胞によってキャッチされた嗅覚情報は、まず嗅脳の嗅球(きゅうきゅう)という部位に伝えられます。

この嗅球には、糸球体と呼ばれる直径約50~200μmの球状の構造が焼く2000個も存在している、これが2個対になって、ここで、それぞれ特定のにおいの情報を処理しているのです。

この嗅脳で行われているのは、あくまでも嗅覚の情報処理であり、何のにおいなのかというようなにおいの種類や判断は大脳皮質で行われます。

嗅脳の嗅球で行われた嗅覚情報の処理により、その情報は大脳皮質の嗅覚部位へと伝えられ、この大脳皮質でにおいの種類などの判断が行われるのです。

嗅脳と関係が深い大脳辺縁系

嗅脳と関係が深いのが大脳辺縁系です。

大脳辺縁系は、1878年にブローカによって発見され、当初は単に辺縁系と呼ばれていました。

ブローカにより発見された辺縁系には、情動に関係する神経回路を形成していることがわかり、ある経路をまとめる系ということで、大脳辺縁系と呼ばれるようになりました。

大脳辺縁系は、大脳内側の表面に、脳梁(のうりょう)をC字型に包み込むように存在している部位で、周囲の皮質とは異なる組織になっています。

大脳辺縁系は、大脳の発達とともに、弓状に引き延ばされて、その形がC字型に変化していったとされています。

大脳辺縁系には、中隔(ちゅうかく)・帯状回(たいじょうかい)・海馬(かいば)・海馬傍回(かいばぼうかい)・歯状回(はじょうかい)・扁桃体(へんとうたい)・乳頭体(にゅうとうたい)といった原皮質が含まれていて、これらを総称して、大脳辺縁系と言われています。

記憶に関係が深い海馬や、感情などに関係が深い扁桃体などは聞いたことがある人もいると思います。

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