『エキセントリック』を辞書で引くと、「性格などが風変りなさま。奇矯。異様に気持ちをたかぶらせるようなさま。興奮させるようなさま。」となっています。
欅坂46の曲にも『エキセントリック』という曲がありますが、その歌詞の中では、「♪ I am eccentric 変わり者でいい 」とあり、『エキセントリック』は、平たく言うと「変わり者」とか「風変りな雰囲気をもった者」というニュアンスで使われることが多いのかと思います。
4つのタイプの筋肉の収縮
普通の意味で考えると、エキセントリック(変わり者)と猫背と肩こりがどう関係あるのかと思ってしまいますが、運動科学や筋肉の分野では、エキセントリックというとエキセントリック収縮(伸張性筋収縮)になります。
筋肉の収縮には4つのタイプがあります。
コンセントリック収縮(短縮性筋収縮)は、筋肉が縮みながら収縮し、力を発揮している状態で、アームカールで言うと、ダンベルを持ち上げるため肘を曲げると、上腕二頭筋が縮みますが、このときの上腕二頭筋はコンセントリック収縮をしていることになります。
エキセントリック収縮(伸張性筋収縮)は、筋肉が伸びながら収縮し、力を発揮している状態で、アームカールで言うと、ダンベルを元に戻すため肘を伸ばすときも、上腕二頭筋は縮んでブレーキをかけようとしますが、これがエキセントリック収縮になります。
アイソメトリック収縮(等尺性筋収縮)は、筋肉の長さに変化がない状態で収縮し、力を発揮している状態で、アームカールで説明すると、ダンベルを持ち上げて肘を曲げている状態を維持している状態で、このとき上腕二頭筋は動いていないので筋肉の長さは変化がないのですが、体勢を維持しようと収縮しています。
アイソキネティック収縮(等速性筋収縮)は、一定の速度で筋収縮を起こすものですが、筋トレマシーンを使ったシチュエーションのもので特殊なものになります。
エキセントリックに重きが置かれる筋トレ
筋トレでは、エキセントリック収縮に重きが置かれます。
例えば、アームカールであれば、肘を曲げる動作よりも、肘を伸ばす動作をゆっくりと行うのです。
こうすることにより、筋肉はより大きな力を発揮するため、トレーニング効果が上がるからです。
肘を曲げるとき、上腕二頭筋はコンセントリック収縮となりますが、遅筋が働きます。これは出力するエネルギー消費を少なくするため、速筋の力を借りないで済むならそうしようとすると考えられています。
一方、肘を伸ばすとき、上腕二頭筋はエキセントリック収縮となりますが、まず速筋が働き、その後遅筋が働き出します。これはブレーキをかけるのときは始めから大きなブレーキをかけておいたほうが安全だからと考えられています。
つまり、エキセントリック収縮のほうが、多くの筋線維が動員されるのです。
猫背と肩こり
アームカールを中心に、上腕二頭筋の話をしてきましたが、猫背の話に移ろうと思います。
猫背になると、背中が丸くなり、背中側の筋肉は伸ばされ、エキセントリック収縮を続けながら頭や状態の重さを支えることになります。
すると、疲労しやすい速筋も使われる上に、血管は圧迫され血流も阻害され、栄養も運ばれにくくなり、老廃物も溜まりやすくなります。
その結果、筋肉が疲労して痛みが出てくるのです。