メタボリックシンドロームに代表されるように、多くの生活習慣病には『肥満』が関与していて、過剰な体脂肪を減らさないと健康寿命は短くなってしまいます。
しかし、『肥満』を解消しただけでは不十分なのです。
過剰な体脂肪を減らすことに加えて長生きに必要なものとは
それでは、過剰な体脂肪を減らすこと以外に、長生きには何が必要なのでしょうか。
それは『筋肉』なのです。そのために『筋トレ』の重要性が見直されてきています。
健康長寿には、筋肉が深く関わっていることがわかってきています。
筋肉量とサルコペニア
人間の筋肉量は、20歳ぐらいを過ぎてくると少しずつ減り始めてきます。
そして70歳代になると、筋肉量は20歳代の半分になってしまいます。
このように、加齢や生活習慣などの影響によって筋肉が急激に減少してしまう状態が『サルコペニア』です。
『サルコペニア』になると筋肉量が急激に減少してしまうので、転倒や骨折などを起こしやすくなってしまいます。
しかも『サルコペニア』というと、高齢者の専売特許みたいなイメージがありますが、若くても油断できません。
最近では、デスクワークの人が増え、毎日デスクワークであったり、あまり歩かず自動車中心の生活になっていると、中高年のみならず若者にもサルコペニア予備軍が増えてきています。
血糖値にも影響を及ぼす筋肉
生活習慣病の一つに糖尿病があります。これはご存じのとおり血糖値が高くなってしまう病気ですが、筋肉はこの血糖値の調節にも深く関与しているのです。
なぜならば、糖の多くは一時的に筋肉に貯蔵されるからです。
筋肉量が減ってくると、糖の保管場所が減少してしまうために、血糖値の変動が大きくなってしまい、それだけ糖尿病になるリスクが高くなってしまうのです。
本当に長生きに筋肉が大切なの?
理屈ではわかっても、本当に長生きに筋肉が関係しているのでしょうか?
例えば、病院に入院しずっとベッドの上でいると、筋肉量がどんどん落ちて、急に老け込んでしまった高齢者などをよく見かけますが、こうしてことからも筋肉が大切であるということがわかりますし、そのために回復後はリハビリをしたりもします。
実際に、75~84歳の高齢者の10年後の生存率を調べた研究があり、歩行速度が毎秒1.4m以上の速い人と、毎秒0.4m未満の遅い人のグループを比較しています。
歩行速度が毎秒1.4m以上というと一般成人が普通に歩くスピードで、毎秒0.4m未満というと目安としては青信号で信号を渡り切れるスピードの半分程度の速さというと、イメージしやすいかもしれません。
歩行速度が速い人の方が、生存率がおよそ3倍も高かったというデータがでてきます。
歩行速度が速いということは、筋肉量が多いということになり、こうしたデータからも長生きには筋肉が重要であるということがわかります。