トコジラミ(Cimex lectularius)は、別名「ナンキンムシ」と呼ばれ、体調は5~8mmになります。
日本では、北海道から本州、四国、九州にかけてどこにでも広く分布していて、時期としては、夏を中心に6~9月に多いものの、暖房があれば通年存在できます。
5~8mmほどの茶褐色で扁平な体で、狭い隙間に潜んでいて、昼間は家具や段ボールの隙間などに隠れています。
夜になると這い出てきて、人間の露出している足や手、首などを刺して吸血します。
トコジラミはシラミではない
トコジラミは、個人差はもちろんありますが、刺されると唾液によるアレルギー反応によって眠れないくらいの激しい痒みを伴い、あまりの痒さに血が出るほどかきむしる人もいるほどなのだそうで、発疹や発熱を引き起こす場合もあります。
病原菌については媒介しないようです。
吸血した大部分は糞として排出され、家具の裏や隙間に黒褐色のシミとして残るため、そこでトコジラミの存在に気づいたりします。
トコジラミは、「シラミ」と名前についていますが、シラミの仲間ではなくカメムシの仲間で、成虫は1日に3~6個、一生では約200~500個の卵を産むとされています。
カメムシの仲間なので、潰したりすると独特の臭いがしたりします。
気温的には25℃ぐらいを好みますが、0℃でも半年生存したという研究報告もあります。
トコジラミは絶滅したはずなのになぜ?
日本では戦後、DDTなどの強力な殺虫剤で、トコジラミはほとんど撲滅されていましたが、最近、都市部を中心に広がってきています。
これは、海外からの旅行者によって持ち込まれたらしく、ホテルや旅館などの宿泊施設から広がっていったようです。
トコジラミは、手荷物や衣類などのわずかな空間に紛れ込んで侵入し、昼間は隠れていて、夜間になると血を吸いに這い出してきて、そのまま居ついて繁殖するというケースが増えています。
スーツケースのキャスターの隙間にいたというケースもあるくらいです。
トコジラミに刺されると
トコジラミに刺されると、刺し口に赤くなった小さな点が2つあると良く言われますが、必ずしも2つというわけではなく、1つのケースもあります。
また、痒みに関しても、アレルギー反応によって起こるものなので、初めてトコジラミに刺された人の場合は、痒くならなかったりして、そのため発見が遅れてしまうこともあるようです。
「ナンキンムシ」という別名は、トコジラミが中国原産ということではなく、昭和30年第に日本在住の架橋の人から、中国や南京は関係ないのだから、「ナンキンムシ」という言い方はおかしいという声があがり、「トコジラミ」になったともいわれています。
ホテルでのトコジラミチェック
ホテルに宿泊する時、ベッドと床や壁の隙間をよく見てみます。
そこに黒い小さなシミ、つまりトコジラミの血糞が点在していたり、脱皮したトコジラミの抜け殻がないかをチェックします。
もし、そんな痕跡があったら、トコジラミがいる可能性があるので、明かりを煌々とつけたままで、アイマスクをして寝ると良いでしょう。
なぜならば、トコジラミは基本的に明るい場所が嫌いで出てこないからです。
明かりを消すとベッドの隙間から出てきて、明かりをつけるとサッとすばやくいなくなります。
ただし、あまりにも空腹だと明るくても吸血する場合があるようです。