SNSの時代となり、誰もが情報を発信でき、しかもそれが拡散力をもつ時代となり、ツイッターやフェイスブック、ブログなどでも科学的根拠に乏しいウソの情報が拡散されていたりします。
いかにフェイクニュースが拡散しやすいか
2015年から2016年にかけてジカ熱が流行ったとき、米国のウィスコンシン医科大学の医師がフェイスブックなどのSNSを通して、どのような記事や動画が拡散したかを調査しました。
その結果、8割以上はCDC(アメリカ疾病管理予防センター)等の適切な情報源をもとに正確な情報を出していましたが、12%は「ジカ熱は大企業の陰謀によるもので、発展途上国に人口削減のために利用されている」といったフェイクニュースもありました。
200記事を調査したところ、最も拡散されていたのが、「ジカウイルスの恐怖が不正なでっちあげである10の理由」という動画で、正確な情報の中で最も拡散されたWHOのプレスリリースのなんと200倍も拡散されていたのです。
フェイクニュースは、国をも動かす可能性がある
現在、米国の大統領選では、トランプ大統領とバイデン候補が争っていますが、前回2016年の米国大統領選は、トランプ大統領とクリントン候補の争いになり、結果はご存じの通り、トランプ大統領が勝利しました。
しかし、直前まではクリントン候補のほうが有利であるとされていました。
この2016年の米国大統領選の結果に一定の影響を与えたのではないかと言われているのが、SNSを通じて拡散されたフェイクニュースでした。
その震源地は、BuzzFeed Newsに報道で、ヨーロッパの小国、人口わずか200万人あまりのマケドニアの若者たちが量産していたフェイクニュースということが判明しています。
もっとも、このフェイクニュースが直接大統領選の結果を左右したとは思えませんが、ある程度の影響を与えたのだとは思います。
なぜフェイクニュースは出てきて、しかも拡散しやすいのか
なぜ科学的根拠や確度に乏しいフェイクニュースが作られ、拡散してしまうのでしょうか。
前述のフェイクニュースを流したマケドニアの若者たちは、「そのほうが儲かるから」という理由でフェイクニュースを量産したと言われています。
これは、ネット社会の大きな落とし穴とも言えます。
ネット社会では、記事や動画を作り上げることで、広告収入が得られたりします。
しかし、アクセスが少ないと広告収入を得ることができません。より多くの広告収入を得るためには、アクセス数を増やす必要があります。
そこで、アクセス数を増やそうとするとき、人間の性を利用するのです。
人間は、感情的で煽情的なものほど気になってしまうものなのです。
つまり、アクセス数をジャンプアップさせたいのであれば、感情的で煽情的な記事を書いたり、動画を上げたりするのが手っ取り早いということになり、これはある意味、合理的な考え方になります。
しかし、感情的で煽情的なものにしようとすると、事実では面白くないので、余分な枝葉をつけて尾ヒレをつけたり、ひどい場合は、全く事実とは異なるものを作り上げてしまいます。
しかし、デタラメやウソはいけません。
しかも、フェイクニュースをみた人は、その内容が感情的で煽情的なものであるので、印象に強く残り、これは大変だから友人・知人にも知らせてあげないとということで、「良かれと思っての善意の拡散」により、さらに拡がっていってしまうのです。
フェイクニュースを見破るにはどうしたらよいか
ネット時代、感情的や煽情的な記事や動画が増えるなか、いかにをそれを見破り、良質な情報だけを集められる能力も必要になってきます。
フェイクニュースも、誰もがデタラメとわかるようなものであれば、誰も信じないのでしょうが、そういうこともありうるかもというレベルのものだから、信じられ拡散してしまうのです。
それを見破るのは簡単なことではありませんが、まずは根拠となっている発言者やデータがきちんとしたものなのかを確認するのが一番です。
きちんとした政府機関や学術機関の情報なのか、しっかりと査読がある論文に由来したものなのかです。
でもこうしたものですら、後になってみると間違っていたということもある時代です。
感情的な表現で終始煽っている記事や動画であったりした場合は、広告収入欲しさのフェイクニュースの可能性が高いかもと疑うことも大切かもしれません。
SNSの時代、悪気はなくても、『良かれと思っての善意の拡散』で、間違ったフェイクニュースを拡散してしまう可能性もあります。
シェアやリツイートする前に、ひと呼吸おいて、本当に正しいものなか考えてみることも大切なのかもしれません。