人間の行動を左右する2つの思考「システム1」と「システム2」 | 薬剤師トピックス

人間にはその行動を支配している2つの「システム1」「システム2」という思考があります。

心理学・認知学者であり、ノーベル経済学賞受賞をとったダニエル・カーネマン氏が書いた「ファスト&スロー」というベストセラーに登場するのが「システム1」「システム2」です。

面白いことに、ダニエル・カーネマン氏は経済学者でもなく心理学・認知学者でありながら、ノーベル経済学賞を受賞したわけですが、人間の心理や認知がいかに物の購買に直結し、経済を動かしているという点で、経済と深い関わりがあるということなのでしょう。

2段階の思考、「システム1」と「システム2」とは

ダニエル・カーネマン氏が書いた「ファスト&スロー」の内容を要約して一言で言いあわらすとするならば、次のようになるでしょう。

人間の行動は、システム1(脳の中の速い思考を司る部分)とシステム2(脳の中のゆっくりとした思考を司る部分)によって決まる。

人間は、何かの情報を処理する場合には、この「システム1」と「システム2」の思考が順に作動すると言われています。

人間は、何か情報が入っているとまずは、システム1(直感的・無意識的システム)という思考が作動します。
これは、物事を直感的に素早く判断するために自動的かつ高速に動く思考といっていいでしょう。

例えば、赤色や黄色の標識を見たとき、それが警告や注意を表すものだとすぐに判断したり、体格がでかい人を見たときに力が強そうだと思ったりすると思いますが、これらはこの「システム1」で処理されたものといってもいいでしょう。

「システム1」で処理された情報は、次にシステム2(論理的・意識的システム)という思考へ移っていきます。
この「システム2」は、「システム1」が作動した後にゆっくりと動くもので、物事を身長に判断・計算しようとする思考です。

例えば、難解な専門書や自分の専門外の本を読むときは、内容を理解するのに時間がかかったりして速く読めないということがありますが、これは「システム2」によってゆっくりと処理されているからです。

システム1は速く作動することから「ファスト」、システム2はゆっくり作動することから「スロー」、そしてこの2つを合わせて、「ファスト&スロー」というわけです。

文章や広告にも応用できる「ファスト&スロー」の考え方

文章を書いたり広告をしたりするとき、まずは読みやすくなければ頭に入ってきません。
それは、人間が何かの情報に接したとき、最初に働くのは「システム1」の思考だからです。

だからこそ、文章は読みやすいということが重要になってくるのです。
読みやすいということは、読むことに対して心理的負担というハードルが下がってくるので、しっかりと最後まで読まれるということになるのです。

例えばネットで調べものをしていて、あるページが見つかり開いたとき、まずは文章を読み始めると思いますが、いきなり難しい専門用語がたくさんでてきたりすれば、そのページはすぐに閉じられてしまう可能性が高くなります。

そのためにも、適度に改行したり、箇条書きにしてみたり、情報を整理してまとめたり、代名詞は極力使わないようにしたり、余計な言葉はカットしたりというように、文章を読みやすくする工夫が必要になってくるのです。

幸いにして読みやすいということで、読み始めてもらっても、書かれている内容が支離滅裂であったり、論理的な組み立てになっていなかったり、主張に一貫性がなく矛盾だらけだったりすれば、その文章は信用されず、頭にも残りません。

だからこそ、文章を書くということにおいても、人間がもつ「システム1」と「システム2」の思考を意識することが非常に大切になってくるわけです。