肌あれに効く潤肌膏と紫雲膏 | 美容トピックス

漢方薬の多くは、湯液つまり煎じ薬で、生薬を水に入れて加熱して煮詰めていき、最終的に滓を除いて内服します。

漢方薬の剤形

漢方の処方では「〇〇湯」というように名前がついているものは、湯液になります。

これ以外に、五苓散などのように「〇〇散」といった漢方処方もありますが、こちらは生薬を挽いて粉末にしたものを水や白湯で服用する散剤になります。

散剤は湯液に比較して、効き目が早く鋭いものが多くなっています。

さらに桂枝茯苓丸で代表されるように「〇〇丸」という漢方処方も耳にするかと思いますが、こちらは生薬を挽いて粉末にし、それをさらに水や蜂蜜などで練って球状にしたものになり、水や白湯で服用します。

こちらは湯液に比較して、効き目が緩徐です。

最近の病院で処方されたり、薬局やドラッグストアで市販されている漢方薬は、エキス剤を使ったものが多く、これはまずは煎じ薬を作ってから、その水分をとばして固形にしたものに対し、デンプンや乳糖などの賦形剤を加えて、顆粒・細粒さらには錠剤やカプセル剤にしたりしています。

安定性もありいちいち飲むたびに生薬を煎じなくてもよく、携帯にも便利ということから、医療機関などで出される漢方薬の多くは、エキス剤を使ったものになっています。

漢方では、あまり外用薬はないのですが、外用漢方の中では一つ有名な処方として紫雲膏(しうんこう)があります。

構成生薬に水を入れて加熱・濃縮し、それを適当な基剤と混ぜて軟膏のようにして作られます。

漢方薬の外用剤、潤肌膏と紫雲膏

漢方処方の中で、保険適用となっているものにしぼると、外用薬は紫雲膏ぐらいですが、それ以外の漢方処方で考えると、いくらかあることはあります。

苦参湯は、名前が「〇〇湯」の形になっていますが外用で用いるめずらしい処方で、ただれ・あせも・かゆみに煮詰めてからそれ外用として使います。

左突膏は化膿性のはれものに、蒸眼一方はものもらい・ただれ目・はやり目に対し洗眼や温湿布で用います。

神仙太乙膏は切り傷・かゆみ・虫刺され・軽いとこずれ・やけどに、ゴマ油単一からなる中黄膏は、急性化膿性皮膚疾患(はれもの)の初期・うち身・捻挫に用います。

楊柏散は、名前が「〇〇散」の形になっていますが外用でもちいるめずらしい処方で、捻挫・打撲に粉末をうすい酢又は水で泥状にして患部に塗って使います。

さて、紫雲膏ですが、華岡青洲家方(はなおかせいしゅうけほう)外科正宗(げかせいしゅう)に収載されている『潤肌膏』を参考にしてつくられたもので、日本の代表的漢方軟膏になります。

紫雲膏の効き目

紫雲膏の構成生薬は、紫根・当帰・豚脂・蜜蝋(サラシミツロウ)、ゴマ油になっていて、ひび・あかぎれ・しもやけ・いぼ・たこ・水虫・やけど・床ずれ・肌あれ・かぶれ等、皮膚疾患一般に幅広く用いられます。

外傷などにより局所の血の流れが悪化すると、そこに痛みがでてきます。

漢方では血がとどまると熱を発するとされていて、それにより皮膚の付近に熱が生じ、それが外に出ようとするために湿疹という症状を引き起こします。

さらに熱は肌肉を腐らせるために褥瘡などにもなります。

やけどの場合は、皮膚に直接熱を生じて、それにより逆に血の流れが悪化してしまいます。

紫根は皮膚の熱を除き皮膚を養い肉芽を形成します。

当帰は局所の血の流れを改善し、血流悪化に伴う血の不足を補う働きをしています。

豚脂は加えることにより肌へのなじみを良くしています。

紫雲膏は、化膿していない部位・分泌物が少ないところに用い、深い切り傷でないものに用います。

防腐作用・肉芽形成作用があり、直接塗ったり、がーぜや紙などに伸ばして貼ったりします。

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