人間の『脳』といえば、いろいろな面で司令塔にあたる部分です。
脳というと、知的活動の中枢というイメージがありますが、それ以外にも生命維持、運動、感覚といった、人の体全体をコントロールしているとても重要な臓器になるので、厳重に保護されています。
厳重に守られている脳
脳は、人間の司令塔ともいえる組織なので、他の組織と比べても、その守りは厳重になっています。
まずは、一番外側を頭髪や頭皮によって守られていて、その下には硬い頭蓋骨があります。
頭蓋骨の中も、硬膜とクモ膜という2つの膜に加え、液体の層である髄液、そしてもう1つの膜である軟膜によって脳は囲まれ守られています。
頭蓋骨の中の髄液は液体であり、脳はその中に浮かんでいますから、衝撃を受けてもこの髄液が衝撃を吸収してくれるようになっているため、脳本体は衝撃を受けにくくなっています。
さらに硬軟をあわせて5層の守りに加えて、頭蓋骨の外側の頭皮と頭髪で、さまさまな種類の衝撃から脳を守っています。
外からの物理的衝撃のみならず、脳の血管には血液脳関門(BBB)というゲートがあり、これがいわゆる関所みたいな役割を果たしていて、有害物質や不要なものが、血液を介して脳内には入り込めないようなしくみになっています。
脳の3つの部位
ヒトの脳は、重さ約1.4kgで、淡い茶色のやわらかな塊になっていて、解剖学的には、おおまかに大脳、小脳、脳幹の3つに分けることができます。
ヒトの脳は、単なる神経の集まりだったものが、長い進化の過程で、まず呼吸や体温をコントロールする脳幹が発達し、次に敏捷な動きを可能にするため小脳が発達し、さらにその外側に複雑な精神活動をつかさどる大脳が発達していきました。
つまり、このことからもわかるように、脳は内部へいくほど古くなっています。
大脳の大脳皮質と大脳辺縁系
脳の中で、容量的に大きな割合を占める大脳です。
この大脳は、表層部分の大脳皮質と、脳幹との境目にあたる大脳辺縁系に分けることができます。
『大脳皮質』は、厚さ約3mmの層で、ヒトでは特に発達していて、この大脳皮質があるからこそ、人間らしい高度な精神活動を創りだしていけるのです。
進化の過程で精神活動を発達させるにつれて、大脳皮質は、その表面積をどんどん広げていき、とうとう新聞紙の大きさぐらいになってしまったため、収容するために複雑な深い溝に覆われた形となり進化していったとされています。
『大脳辺縁系』は、間脳を取り囲むように存在し、大脳の中では、心の病気に関係が深い部分となっています。
この大脳辺縁系には、扁桃体や海馬と呼ばれる部位もあります。
小脳と脳幹
『小脳』や『脳幹』は、大脳に覆い隠されていて、体積的には比較的小さく見えますが、生命を維持して、ヒトとしての基本的機能を保っていくために重要な部分です。
『小脳』は、身体の運動をコントロールする機能があります。
『脳幹』は、呼吸や体温などの機能をつかさどっています。