クリーンな理想を求めすぎて起こるオルトレキシア摂食障害 | 健康トピックス

食品偽装などの問題があちこちでニュースとなっていたりしますが、食品は毎日摂取するもので、毎日の食事は運動とともに体の健康を守るための双璧となっているものです。

食品偽装などはもってのほかですが、毎日の食事には気を使いたいところです。

しかし最近「クリーンな」食品を食べたいという願望が強迫観念になってしまい、そのことにより不健康な状態になってしまう人々が増えてきてしまっています。

食品に対する心配

食事は毎日3食、体の健康を左右する大きなファクターであることは間違いありません。

1日3食ならずとも、2食、4食という人もいると思いますが、いずれにしろ普通の人間であれば毎日、1年365日食事をするわけで、それだけ食事には気を使いたいところです。

食材というと、日本でも原発事故があり、野菜や魚の放射能について懸念する声が出ていたりします。

大豆やとうもろこしにおいては、遺伝子組み換え食品は避けるという人もいます。米国から輸入されている大豆や牛肉は控え、米国ではなくニュージーランド産やオーストラリア産を使っているという人もいます。

さらに中国から輸入された野菜などにはどんな農薬が使われているかわからないし、中国のウナギなどは薬漬けで養殖されているといった話も聞きます。

こうしたことから、中国から輸入された野菜やウナギなどは国産のものの半額ぐらいで買うことができても、倍する国産のものを買うという人も結構います。

それじゃ、国産がいいかというと、日本では欧州などでは禁止になっている農薬が使われていたりするので、野菜は有機農法のものしか食べないというこだわりを持った人もいるほどです。

専門書にも載っていないオルトレキシア

『オルトレキシア(orthorexia)』は、不健康だと考える食品を避けることで起こる極端・過度な先入観によって引き起こされる摂食障害や精神障害です。

『オルトレキシア』の語源は、ギリシャ語のορθο- (ortho、"正しい")と?ρεξι? (orexis, "食欲")からきていて、「正しい食欲」ということになります。

『オルトレキシア』という言葉は、初めて聞くという人がほとんだと思いますが、実は『オルトレキシア』という言葉は、日本の家庭向けの医学書をみても、今日の治療指針や診断指針といった専門書を見ても記載されていません。

また疾病分類コードであるICD-10コードにおいて検索してもヒットしません。さらに言うと『オルトレキシア』はアメリカ精神医学会が定義している精神疾患にもなっていません。

加えてアメリカの精神科医用の診断基準のマニュアルDSM-5にも収録されておらず、米国の専門家向けの診断基準マニュアルにさえ収録されていないのです。

しかし一部の開業医が現在もオルトレキシアについて診断していて、全米摂食障害協会(NEDA)によると、『オルトレキシア』とほかの摂食障害との違いは、「食べる量」ではなく「食べ物の質」とされています。

摂食障害の1つである『オルトレキシア』

『オルトレキシア』の場合、食材にクリーンを求めるあまり、「自然栽培」「有機栽培」「無添加」等といった食品や食材の品質に執着しすぎ、症状が進むとこうした物以外は食べることができなくなってしまうという摂食障害の1つです。

「摂食障害」と聞くと、普通ダイエットをイメージする人が多く、食べる量を極端に制限することにより、どんどん痩せていってしまうという印象があります。

しかし『オルトレキシア』は、食べる量ではなく、食べるものの質を制限してしまうものです。問題なのは食べる量を制限しているからではなく、食べるもの、つまり食の質を制限しているせいで栄養失調になってしまうのです。

「自然栽培」や「有機栽培」、「無添加」といったものにこだわりすぎてしまうため、食べれる食材が少なくなってしまったり、食事の内容に偏りがでてきてしまったりして、そういう生活を長く続けていることで、栄養失調状態となり、不健康になってしまうのです。

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