ネギにまつわる、いろいろな面白い話をご紹介していきます。
葱の意外な力
異なる品目の作物を一緒に栽培することで、互いの成長に良い影響を与える植物を『コンパニオンプランツ』と言い、このような植物同士の共存は、『コンパニオンプランティング』と呼ばれたりしています。
ネギの仲間は、この『コンパニオンプランツ』として非常に有効であるとされていて、ネギのもつ独特の香りによって、さまざまな害虫を遠ざける働きがあります。
さらに加えて、葱の根に棲む拮抗菌がちょうど抗生物質のように働いて病害を防ぐ働きがあります。
しかも、ネギは成長しても葉や茎が茂らないので共生しやすく、ほぼ全ての作物との組み合わせが有効であるとも言われています。
特に、ゆうがお・キュウリ・ニンジン・ホウレンソウ・トマトなどを育てるときに、ネギを近くに植えることがよく行われています。
ネギ類も、ネギ類を好むネギアブラムシやネギアザイウマなどの害虫などもいるのですが、こうした害からネギを守るためにも、『コンパニオンプランティング』は有用といえます。
一方、マメ類、大根、キャベツ、レタスなどはネギ類との混植には適さず、相性が悪いようです。
葱はさらしすぎに要注意
ネギは、辛味を和らげるためによく水でさらします。
しかし、さらしすぎると、水溶性でかつ辛味や香りの成分である揮発性の硫化アリルが、どんどんと抜けて行ってしまいます。
せっかくの薬味の働きが、さらしすぎによってなくなってしまいます。
ネギによっても、調理する量によっても違いますが、通常は2~3分さらせば十分でしょう。
このあたりは味の好みの問題もあり、マイルドな薬味の方が良いのであれば少し長めに、また薬味の薬効に期待した場合はさらすのを短くしたり、刻んでからしばらく空気に触れさせるなどすると良いでしょう。
ネギは切れば切るほど酵素が働き、アリシンが出てくるので辛みが強くなり、加熱することで辛み成分を作り出している酵素の働きが止まり、甘さだけが際立ってきます。
葱は精進料理NG
精進料理というと、体によく和風なものというイメージがあり、肉・魚・卵・牛乳といった動物由来の食品は使わないのですが、植物由来のネギは、豆腐などとともに精進料理で大活躍するようなイメージがありますが、全く違います。
実は、精進料理では、ネギをはじめ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、アサツキといったにおいが強く、精力をつけると言われるものは、「五葷(ごくん)」といってNGになっています
食べることによって、欲情や怒りの感情が刺激されるということから、修行の妨げになると考えられています。
5つの食材については、宗派によって多少違いがあるようですが、ネギは要注意なのです。