ダイエット志向もあり、最近いろいろなメーカーの飲料でノンカロリー・カロリーゼロをうたった商品がたくさんでています。
ノンカロリー・カロリーゼロなのに、甘くて美味しいというのは、人工甘味料を使っているからで、ダイエット目的の人以外にも、糖分の摂取をさけたい肥満や血糖値が高めの人のメタボ対策としても人気がでてきています。
ほとんどエネルギーにならない人工甘味料
砂糖を摂取すると、腸で吸収されエネルギーに変換されますが、アスパルテームやサッカリン、スクラロースといった人工的に合成された人工甘味料は、砂糖よりも強い甘みを感じるにもかかわらず、ほとんどエネルギーになりませんし、血糖値もあがりません。
人工甘味料の多くが、糖質0でありカロリー0、ほとんど代謝されずに体外へ排出されていきます。
カロリーゼロの人工甘味料でも太る可能性がある
人工甘味料を使っていても、太るという人もいます。
カロリーゼロなのになぜ太ってしまうのでしょうか。
人工甘味料は、砂糖よりも強い甘さを感じますが、その人工甘味料を使った食品をカロリーゼロだからといってたくさん食べていると、体はどんどんそれに慣れ、甘みに対する味覚が鈍ってきて、甘いものや炭水化物が欲しくなってしまい、ついいつもよりも食べ過ぎてしまったり、余分に甘未を追加するようになってしまいます。
その結果、相対的に糖分の摂取量が増えてしまうことにつながり痩せるどころか太ってしまうことにつながる可能性があるのです。
人工甘味料により認知症と脳卒中のリスクが上昇するという研究報告
2017年、「人工甘味料を含む炭酸飲料は脳卒中と認知症のリスクを高める可能性がある」という研究報告が米国のボストン大学の研究チームによって発表されました。
これは、10年にもわたる長期的な追跡調査に基づくもので、人工甘味料を含む飲料と砂糖入りの飲料で、それぞれ「毎日1杯以上飲む」グループと「まったく飲まないグループ」に分けてデータを分析しています。
その結果、認知症については60歳を超える1484人のデータを分析したところ、「人工甘味料飲料を毎日1杯以上飲む」グループでは、アルツハイマー型認知症になるリスクが約2.89倍になっています。
また、脳卒中については45歳を超える2888人のデータを分析したところ、「人工甘味料飲料を毎日1杯以上飲む」グループでは、アルツハイマー型認知症になるリスクが約2.96倍になっています。
そして砂糖入り飲料の場合は、このような差がみられていないという結果になっています。
<参考>
Stroke. 2017 May;48(5):1139-1146
Sugar- and Artificially Sweetened Beverages and the Risks of Incident Stroke and Dementia.
https://www.ahajournals.org/doi/full/10.1161/STROKEAHA.116.016027
しかし、これに対しては、ABA(アメリカ飲料協会)は、人工甘味料を使ったものについては、世界各国の政府機関が安全性を保証しているものだとして批判的な論評を発表しています。
人工甘味料により認知症と脳卒中のリスクが上昇するのは本当か
仮設としては、人口甘味料が何らかの形で腸内細菌に影響を及ぼし、腸内環境が変わることで病気と関係するというような可能性が考えられますが、一つの研究報告としてこういった研究結果があるというもので、はっきりとしたエビデンスがあるとまでは言い切れません。
例えば、血糖値が高めな人は、糖質を控えようとノンカロリー・カロリーゼロの飲料を摂取する確率が高いと考えられます。
血糖値が高めな人は、脳卒中や認知症になるリスクが高いことから、結果的に、血糖値が高めの人に多く飲まれているノンカロリー・カロリーゼロの飲料を飲んでいる人が、脳卒中や認知症になるリスクが高いという結果につながっているのではないかと考えることもできます。