ボツリヌス菌、ウェルシュ菌・セレウス菌 | 健康トピックス

食中毒を起こす、芽胞形成をするグラム陽性桿菌にボツリヌス菌、ウェルシュ菌・セレウス菌 についてまとめてみました。

ボツリヌス菌

ボツリヌス菌 (Clostridium botulinum)は、グラム陽性桿菌で偏性嫌気性菌、芽胞形成をします。

ボツリヌス菌は、土壌、河川、動物の腸管等の自然界に芽胞の状態で広く生息していて、酸素の極めて少ないところで増殖し、熱に極めて強い性質があります。

型により耐熱性に差がある芽胞を形成し、強い神経障害をもたらす毒素を産生します。

ボツリヌス毒素の失活には80℃で30分以上、100℃では数分以上の加熱が必要です。

ボツリヌス菌というと、かつて日本では、「いずし」を原因食品とする E型菌による食中毒」が多発していましたが、現在では珍しくなっています。

過去には、A型菌、B型菌による食中毒も発生したことがあり、諸外国では、食肉製品や野菜缶詰、瓶詰を原因食品とするA型菌、B型菌が多くみられます。

乳児ボツリヌス症の場合は、蜂蜜、コーンシロップ等からの感染があります。

ボツリヌス菌による感染の潜伏期間は8?36時間で、主症状は、吐き気、嘔吐、筋力低下、脱力感、便秘、神経症状(複視等の視力障害や発声困難、呼吸困難等)がみられます。

ボツリヌス菌による食中毒は、発生数は少ないものの、いったん発生すると重篤になったりするので要注意です。

日本では、抗毒素療法の導入が行われてから、致死率が約30%から約4%まで低下しています。

ボツリヌス菌の感染を防ぐために注意しなければいけない点としては、容器が、膨張している缶詰や真空パック食品は食べないことが大切です。

ボツリヌス食中毒が疑われる場合は、抗血清による治療を早期に開始することが重要になってきます。

ウェルシュ菌

ウェルシュ菌 (Clostridium perfringens)は、グラム陽性桿菌で、偏性嫌気性菌、芽胞形成をします。

ウェルシュ菌は、人や動物の腸管や土壌、下水に広く生息し、酸素のないところで増殖する菌で芽胞を形成します。

芽胞は、100℃で数分で死滅する易熱性芽胞と100℃で1~6時間の加熱に耐える耐熱性芽胞がありますが、人間での食

中毒は主に耐熱性芽胞によって引き起こされます。

食品を加熱調理し、他の細菌が死滅しても耐熱性芽胞は生き残り、食品の温度が発育に適した温度まで下がると発芽して急速に増殖していきます。

そして増殖型の細菌が芽胞に変わるときに毒素を産生し食中毒を引き起こします。

カレーや煮魚といった多種多様の煮込み料理、麺のっけ汁、いなりずし、野菜煮付け等が原因食品になったりします。

食中毒は、菌が1g当たり10万個以上に増殖した食品をとることで発生し、潜伏期間は6~12時間で、主症状としては下痢と腹痛で、まれに嘔吐や発熱があることもあります。

ウェルシュ菌対策としては、清潔な調理を心がけ、調理後速やかに食べることが重要です。

食品中での菌の増殖を阻止するため、加熱調理食品の冷却は速やかに行うと良いでしょう。

食品を保存する場合は、10℃以下か55℃以上を保ち、食品を再加熱する場合は、十分に加熱して増殖型の細菌を殺菌し早めに食べるようにしますが、加熱しても芽胞は死滅しないこともあるので注意が必要です。

セレウス菌

セレウス菌(Bacillus cereus)は、グラム陽性桿菌で、通性嫌気性菌で、芽胞形成をします。

セレウス菌は、土壌等の自然界に広く生息していて、毒素を生成します。

芽胞は100℃30分の加熱でも死滅せず、アルコール等の消毒薬も無効です。

セレウス菌は、嘔吐型と下痢型があり、嘔吐毒であるセレウリドは126℃90分の加熱でも失活しません。

下痢毒であるエンテロトキシンは易熱性で56℃5分で失活します。

嘔吐型のものは、ピラフ等の米飯類、スパゲティ等の麺類などが原因食品となっています。

嘔吐型は、食品中で産生された毒素(セレウリド)が原因で発生し、毒素型であリ、潜伏期は30分~6時間となっていて、主症状としては吐き気や嘔吐がみられます。。

下痢型のものは、食肉、野菜、スープ、弁当等が原因食品となっています。

下痢型は、食品内で増えた菌が食され、腸管内での細菌の増殖とともに産生された毒素であるエンテロトキシンによって起こる感染型で、潜伏期間は8~16時間で、主症状は下痢、腹痛になっています。

セレウス菌への対策は、衛生的な調理を心がけ、調理後速やかに食べるということになります。

具体的には、米飯や麺類を作り置きはオススメできません。

穀類の食品は室内に放置せずに、加熱調理食品の冷却は速やかに行い、10℃以下で保存することが大切です。

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