日本では、人工透析を受けている透析患者数は年々増加してきていて、2021年末の施設調査結果によると、約35万人になっています。
これは、人口100万人で換算すると、2786人になります。
人工透析となる原因
人工透析となった原因で最も多いのが糖尿病で、次いで腎炎、腎臓の動脈硬化とも言われている腎硬化症です。
特に最近では高齢化が進んだためか、糖尿病や腎炎が原因で人工透析になる人は、やや減少傾向が見られますが、この腎硬化症による人工透析患者が増えてきています。
腎臓は、肝臓とともに予備能力が大きな臓器で、かなり予備能力が高いために、症状がかなり悪化しないと自覚症状がでてきません。
腎臓は、血液をろ過して老廃物や塩分を尿として体外に出す働きがありますが、この腎機能がだいたい5%以下まで衰えると、体内の環境を維持できなくなってきます。
腎臓の症状が悪化すると、むくみや尿量の増減、尿が泡立つ、体がだるい、貧血、食欲不振といった症状が現れてきます。
人工透析となる原因
腎機能が衰える失われてしまうと、その代替として腎臓移植か透析療法ということになります。
腎臓移植でいうと、臓器移植法が改正された後も、臓器提供者からの移植は、年間200件以下となっていて、ほとんどが人工透析になっています。
人工透析には、腹膜透析と血液透析の2種類の方法があります。
『腹膜透析』の場合は、腹部の臓器を包んでいる腹膜を透析膜として血液をろ過していく方法になり、カテーテルを介して、腹腔内に透析液を入れて、濃度差を利用して透析液側に老廃物や塩分を出していく形になります。
腹膜透析では、透析液は腹腔内に24時間貯留し、老廃物がたまったバッグは1日2~6回交換しないといけません。
人工透析として広く普及している方法は、『血液透析』で、普通『人工透析』といえば、血液透析が連想されます。
『血液透析』は、血液を体外に一度取り出し、4~5時間かけてダイアライザーという透析器を通し、そこで老廃物などを除去します。
この場合は、患者は医療機関に週3回定期的に通院する必要があります。
人工透析では医療費が無料
人工透析が必要になると、その治療に1カ月あたり約40万円かかるといわれています。
健康保険で3割負担で計算したとしても、月に12万円となり、これは大きな負担になってしまいます。
しかし、人工透析の場合は、申請すれば自動的に『身体障害者1級』に認定され、障害者手帳が交付されて、いろいろな福祉サービスが受けられるようになります。
具体的にどうなるのかというと、健康保険による自己負担分の医療費がすべて無料になります。
したがって、人工透析にかかる費用はもちろん、風邪などの人工透析以外の病気で医療機関を受診した場合でも、その医療費が無料になり、病院で処方された薬も無料になります。
さらに、車いすなどの福祉機器も無料で交付を受けることができます。
ただ、こうした医療費の助成は、国ではなく地方自治体によって行われていて、年齢制限や所得制限があるところもあります。
東京都では、身体障碍者手帳を取得した時の年齢が65歳を超えていると、医療費の助成は受けられません。
申請は、住民票のある市町村役場の窓口で申請用紙を受け取り行います。
そして、「身体障害者福祉法第15条指定医師」の認定を受けた医師が作成する「身体障害者診断書・意見書」が必要となってきますが、これらもあらかじめ窓口に問い合わせると良いでしょう。
申請から身体障害者手帳の交付までの期間は2ヶ月程度かかるようです。
また、身体障害者として認定されると、障害年金の申請ができるようになりますので、こちらは年金事務所の窓口などに問い合わせてみると良いでしょう。