多くの動物では、オスとメスが1:1に近い時が、安定した性比だと言われています。
しかし、オスとメスの比率ということに関していうと、必ずしもこの法則に当てはまらないものもいます。
フィッシャーの原理
フィッシャーの原理とは、多くの生物で安定した性比がなぜ1:1になるか、究極的な理由を説明した理論です。
そして、実際に日本の人口性比、つまり女性の人数を100としたときの男性の人数をみてみると、出生性比はだいたい105、人口性比は、女性のほうが平均寿命が長いので、95~96となっています。
つまり、いずれもほぼ100ということで、結果的に男女比はほぼ1:1に近い状態になっています。
そして、多くの動物でも、オスとメスが1:1に近い状態になっています。
例外の爬虫類
人間を含めた高等動物では、性染色体によりオスかメスかが決定されますが、ワニやカメ、ヤモリなどの一部の爬虫類では、外部環境に作用されます。
オスかメスかは、受精の瞬間ではなく、卵がさらされる外部環境、特に温度によって決まってきます。
一部の爬虫類が、卵が埋まっている周りの温度によって、オスかメスかが決まってくるというのは、テレビなどでも紹介されていて、知っているよという方も結構いるかもしれません。
ミシシッピーワニは、卵が埋まっている場所が30℃以下ならメス、34℃以上ではオス、32℃ではオスとメスがだいたい半々になります。
カミツキガメは、やはり卵がある場所が20℃以下ならメス、24~26℃ではオス、30℃以上になるとまたメスばかり産まれるようになります。
ウナギのオス・メス
ウナギが大好きという人もいるかと思います。
また川でウナギを釣ったという人もいるかもしれません。
養殖のウナギではなく、天然のウナギに限って話を進めていくと、天然ウナギは、海で生まれて、川で育つと言われています。
まだまだ、ウナギの生態についてはナゾの部分が多いのですが、いろいろなことがわかってきています。
ウナギは海で生まれ、2年半後には稚魚であるシラスウナギになって、川にやってきます。
そして数年間、川ですごしてウナギとなり、海へ戻っていきます。
ウナギは雌雄同体の魚で、成長するにつれて、オスになったりメスになったりしていきます。
ウナギの稚魚はシラスウナギと言われますが、シラスウナギは、まだ雄とも雌ともつかない未分化な状態なのです。
その後、オスとメスに分化して分かれていきます。
養殖のウナギのほとんどはオスで、河川に生息しているウナギは、1:1の割合で、オスとメスに分かれるといわれています。
ウナギを養殖するときの温度は28~30℃で、水温が高いことからそのほとんどがオスに分化するのではと考えられいます。
一方、自然の川であれば、それよりも水温が低い環境なので、オスとメスの比率が1:1になると考えられます。
そのほか、水槽中のウナギの密度が性の分化に影響を与えているのではということも言われていますが、このへんのところは、まだよくわかっていません。
ウナギだけに、長くてつかみどころがないような話になってしまいましたが、それだけウナギはナゾ多き魚なのです。