嗅覚障害は、大きく量的異常と質的異常に分けることができます。
多くの嗅覚障害は、量的異常といわれている嗅覚減退によるものや、嗅覚脱失になります。
嗅覚の量的異常
嗅覚障害の大半を占める嗅覚の量的異常ですが、これは、嗅覚減退と嗅覚脱失に分けることができます。
『嗅覚減退』は、いわゆる嗅覚低下で、においの感じ方が弱くなってしまう状態を指します。
『嗅覚脱失』は、どんなにおいも感じられない状態になっていることを指します。
嗅覚の質的異常
嗅覚の量的異常に対して、嗅覚の質的異常は、嗅覚過敏、嗅覚錯誤、嗅覚幻覚に分けることができます。
『嗅覚過敏』は、においが鼻につくほど強く感じられてしまう状態を指します。
『嗅覚錯誤』は、『異臭症』とも言われ、今までとは違うにおいとして感じてしまう状態で、その多くは異臭として感じてしまう場合になります。
『嗅覚幻覚』は、『幻臭』とも言われ、実際にはそのにおいはしていないのに、そのにおいを感じてしまう場合になります。
嗅覚異常はどこに問題があるのか
嗅覚異常という症状がでてきているからには、その原因となっている場所もあるのですが、これは大きく3つに分けることができます。
鼻腔や副鼻腔に異常がある場合、嗅神経に異常がある場合、脳に異常がある場合です。
鼻腔や副鼻腔の異常
鼻腔や副鼻腔が、なんらかの病気によって物理的に閉塞してしまったりすると、嗅覚異常が出てくることがあります。
こうしたケースは、空気の流れの通り道である鼻腔や副鼻腔で起こることから『気導性嗅覚障害』と言われたりします。
副鼻腔炎や、アレルギー性鼻炎などによって起こってくる嗅覚異常ですが、この場合は、多くは原因となっている副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎の症状が治療されて治まれば、閉塞がなくなり、嗅覚は回復してきます。
嗅神経の異常
嗅神経は、においを感じるセンサーのようなもので、嗅神経性嗅粘膜や嗅神経そのものに障害が起こると、嗅覚異常がでてくることがあります。
人は、加齢によっても嗅粘膜に変化が起きてきたりするもので、加齢によっても嗅覚が弱くなったりしてくるものですが、加齢によるこのような症状は、特に日常生活に影響を与えるほどのものではないので、あまり問題にはなりません。
風邪をひいたとき、なんらかのウイルスに感染したとき、薬の副作用などによっても、『嗅神経性嗅覚障害』が起こってくるくることがあります。
脳の異常
嗅粘膜から、嗅覚中枢に至るところの経路でなんらかの障害があると、『中枢性嗅覚異常』が起こってきます。
脳腫瘍があったり、頭部外傷などにより、嗅覚中枢に至るまでの経路に障害が起こると、嗅覚異常がでてきます。
この場合は、頭蓋内でなんかの病変がある場合もあり、その場合はMRIなどで検査することが大切です。