薬は治療の補助的なもので、病気を本当に治すのは、自分自身の治癒力になります。
医者は、その患者の持っている治癒力を最大限引き出すために、生活習慣を指導しながら、治癒力をサポートするようにし、緊急に取り除くべき状態や苦痛がある場合に、薬を処方したりするというのが本来の形であるという考え方があります。
薬が反対言っているわけでは、ありません。
薬は必要なときに、不快な症状を緩和し、病気の治癒をサポートしてくれます。
しかし、その薬は本当に必要なのかということは、しっかりと吟味をして、それで医療費を削減していくのが良いのではないでしょうか。
薬が病気を作り出すという主張
血圧やコレステロール、中性脂肪などは、その基準値を明かに厳しすぎる形にしているので、本来、健康の範疇に入る多くの人間をいわゆる「健康な病人」したてあげ、不要かもしれない薬をどんどん処方し、かえって病人を作り出し、医療費を増加させているということを主張している人もいます。
薬には、ほぼほとんどの薬に副作用があります。その副作用によって体には新たな不調が発生し、その不調を改善するために、また新たな薬という負のスパイラルになってしまいます。
まさに、『薬が病気をつくる』といっても過言ではないかもしれないということもよくわかります。
もちろん、必要な薬もあるので、なんでもかんでも薬を嫌って飲まないというのも問題なのですが、そこはきちんと専門家も考えるべきなのかもしれません。
高血圧、いったい本当に正しい基準は?
いろいろ言う人がたくさんいますが、個人個人によっても違いますし、どの基準が正しいとは言いきれないというのが結論ですが、その辺も含め、きちんと専門家たちで再度議論してもよいのではないかと思います。
なぜならば、例えば、日本人に多いとされる高血圧ですが、日本の高血圧患者は、全体で約4,300万人いると推定されていて、日本人の3人に1人は高血圧、つまりもうこうなれば国民病といっても過言ではない状況だと思います。
しかし、統計的な正規分布からいっても、国民の1/3が異常値ということになるわけですから、かなり違和感があるのではないでしょうか?
病気という視点、病気になるリスクを軽減するという視点でみれば、たしかに血圧が低いほうが心筋梗塞や脳梗塞などになるリスクが低いとは言えるのでしょうが、長年飲み続ける薬の副作用はどうなのか、該当者が非常に多いことによる医療行政への影響なども考えなくていいのでしょうか。
考えてみれば、昭和の半ば、つまり1960年代は、の日本では高血圧の基準が、収縮期血圧で「年齢+90」まで正常とされていました。
つまり、40歳であれば130、50歳であれば140、60歳なら150、70歳であれば160までは正常値、高血圧の心配なんかしなくても良いということになっていました。
ところが世界保健機関(WHO)が血圧の基準は年齢に関係なく「160/95以下が正常である」と定め、これをきっかけとして日本でも基準が見直されました。
1987年に当時の厚生省が「老人基本健診マニュアル」をつくり、そこには65歳以上は、180/100以上が病院受診の目安とされていました。
WHOの基準に従い、年齢的な考慮がなされた形で、この基準を当てはめると、現在の日本の高血圧の人の数は、170万人程度になります。
4,300万人と比較すると、かなりのズレがあります。
高血圧の基準をどんどん引き下げていったのは、WHOと国際高血圧学会で、「139/89以下が正常」とし、これより高ければ高血圧としたのです。
年齢的な考慮もなし。この基準、きちんとした学術的な根拠はあるのでしょうか?
さらに日本高血圧学会はその基準を厳しくし、120/80未満が至適血圧と推奨するというようなことをし、これで日本人の3人に1人、高齢者のほとんどが高血圧です。
さすがに、これはおかしいし、まずい!!!と気づいたのか、日本人間ドック学会が新しい基準として、147/94以下ならOKという数値を出しましたが、なぜかこの話はフェードアウトしていってしまいました。
ちなみにこれで計算すると、日本で高血圧に該当する人は、860万人となります。
高血圧の基準をどう考えるか
統計的にみれば、日本の人口からして、860万人が高血圧に該当する147/94以下ならOKという日本人間ドック学会の基準が妥当のように感じます。
日本人の1/3、高齢者のほとんどが異常となるような基準は、実際の行政にそぐわないような気がします。
確かに、高血圧によって病気になるリスクということを考えれば、120/80未満が至適血圧というのはわかりますし、もっともなことなのかもしれません。
しかし、そもそも血圧自体、ちょっとしたことで変動し、普段の血圧が100ぐらいの人でも、ちょっと興奮すれば160ぐらいすぐいってしまいます。
どこを基準値にするか、どの基準が正しいかということは、一概には言えませんが、あまりにも高血圧の人の割合が多くなってしまい、それにより多くの人が副作用がある薬を一生飲み続けるということを考えると、そろそろ真剣に、もう一度高血圧の基準というものを議論してもいい時期にきているのかもしれません。
今までも、基準がどんどん変わってきているわけですし、今までの基準が間違ってたとか、正しかったとかいうのではなく、いろいろな視点から考えて議論していくことも大切なのでしょう。