摂りすぎると心臓病になるトランス脂肪酸 | 健康トピックス

トランス脂肪酸は、その分子構造中にトランス型の二重結合を持っている不飽和脂肪酸を指し、天然の動植物の脂肪中に少し存在しています。

トランス脂肪酸ってどんなもので、どう体に悪いのか

トランス脂肪酸は、マーガリンやショートニングといった植物性の油脂に多く含まれています。

マーガリンやショートニングは、昔はバターやラードなどは、動物性脂肪よりもヘルシーな油脂と考えられていましたが、トランス脂肪酸を多く含むということから、変わってきました。

例えば、アメリカではマクドナルドがフライドポテトなどの調理にトランス脂肪酸を利用していたのですが、使用を中止するという対策がとられています。

マーガリンやショートニングでは、水素を付加して硬化した部分硬化油ですが、その硬化油を生成する過程でトランス脂肪酸が多く生成してしまいます。

牛などの反芻動物の胃の中でも、微生物の働きによってトランス脂肪酸が作られるので、牛肉や羊肉、牛乳などの乳製品にもトランス脂肪酸が含まれていますが、ごく微量になっています。

天然の不飽和脂肪酸の多くは、シス型で存在しているのです。

トランス脂肪酸は、LDL-コレステロールを増加させる一方で、HDL-コレステロールを下げてしまい、心血管疾患のリスクを高めると言われています。

このため、トランス脂肪酸を摂りすぎると、動脈硬化が進行し、脳卒中や心筋梗塞などを起こしやすくなります。

実際に、トランス脂肪酸を摂りすぎると、動脈硬化が促進され、心筋梗塞などの心臓病の発生率が30~40%高まることがわかっています。

欧米では規制されているトランス脂肪酸

動脈硬化の進行を助けるということで、トランス脂肪酸は欧米では摂取に制限が設けられています。

そして、トランス脂肪酸を多く含む部分水素化油脂の食品への添加が禁止されています。

欧米の先進国の多くは、トランス脂肪酸に対して注意喚起や表示義務・規制があります。

日本は規制がないようだけど大丈夫?

多くの欧米先進国が規制をしている中、日本はどうかというと、まだトランス脂肪酸の表示の義務や濃度に関する基準値はありません。

農林水産省が実施した2008年の調査研究によると、日本人1日当たりのトランス脂肪酸の摂取平均量は約1gと推定されています。

世界保健機構(WHO)の摂取喚起最大値が2gですので、その半分になっています。

日本では、もともとトランス脂肪酸の摂取量が低いことから、特に基準値も設けられていないのです。

しかし、最近では食の欧米化というようなことも言われてきていて、バターよりもマーガリンの使用が多かったり、ショートニングを多用したパンや菓子類もいろいろ販売されてきていますので、油断は禁物です。

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