コアラは、他の動物が上手く消化できないユーカリを消化することができます。
これは、コアラの腸内フローラに住んでいるロンピネラ菌という腸内細菌のおかげだと言われています。
日本人が持っている宝
そして、日本人の腸内フローラを見てみると、スシ・ファクターと呼ばれる日本人にしかいない海藻消化菌が存在していることが明らかになってきています。
日本は、四方八方を海に囲まれていて、海の魚や海藻をそのまま食べていたことから、日本人の祖先はいつのころからか海藻消化菌を腸内に住まわせるようになり、それが現代の日本人にも引き継がれていると考えられています。
つまり、海藻消化菌は、日本人持っている宝と言えるかもしれません。
日本人は多くの海藻を食べてきましたが、この海藻にも微生物が棲みついています。
そしてその中には海藻の炭水化物の一部を分解する働きを持つものもいて、その遺伝子が、海藻を大量に食べる日本人の腸へと移動したと考えられています。
私たち人間の腸内細菌は、生まれたあとでなんらかの形で入ってきています。
つまり、どこかで何らかの形で菌と接触することにもらってくる感染です。
どんな菌に感染するかは、その国々でどんな菌が流行しているかにもよります。
そして、腸内細菌は、人から人へ、そしてある世代から次の世代へと感染していくのです。
産まれたばかりの赤ちゃんを観察していると、ところかまわずにベタベタとさえ利、そのまま指をおしゃぶりします。
おもちゃ、絵本、家具、場合によって地面の土まで口に入れてしまったりします。
こうして、自然の流れで腸内細菌を獲得していっているのです。
腸内フローラは個人個人で違う
産まれたときの環境、育った環境などにもより、同じ日本人であったとしても、腸内フローラは一人一人違っています。
腸内フローラは、個人個人で違いますが、一方で、たとえば同じ日本人ということで共通している部分もあります。
例えば、ある国では、この種の菌が多いが、別の国ではほとんどいないといった具合に、国々によって共通した特長があったりします。
極端な話をすると、腸内細菌の構成を調べれば、だいたいどこの国の人なのか判定できてしまうほどなのです。
そして、日本人に特徴的で、他の国々の人にはないのが、スシ・ファクターと呼ばれる海藻消化菌なのです。
腸内フローラは選ばれしもの
人間の腸内には腸内細菌が棲みついているわけですが、自然界の細菌ということで考えると『種』や『属』よりも大きなくくりである『門』で考えると70門ほどあります。
しかし、人間の腸内に存在するのは、この70門あまりの細菌のうち、ほぼ4門と言われています。
腸内に入ったとしても、例えば下痢をすれば、体外へ排出されてしまいます。しかし、腸内細菌がいなくなることはありません。
これは、腸表面にある粘液層という粘りのある部分に住みつくことにより、そう簡単に体外に全てが排出されないしくみになっています。
腸内にはIgA抗体があり、特定の細菌に限り結合し、結合した細菌は粘液層の中にしっかり入りこめることで、腸内フローラが形成されています
IgAの腸内フローラにおける役割については、まだ謎の部分もありますが、大きく私たちの腸内フローラを特長づける要因になっていることは間違いないのです。