聞診(ぶんしん)というと、患者からいろいろ話を『聞く』ものだろうということで、いわゆる『問診』と勘違いされたりする場合もあります。
実際に、患者から主訴などをいろいろ聞き取るのは『聞診』ではなく『問診』になります。
それでは、いったい『聞診』とはどのようなものになるのでしょうか。
聞診(ぶんしん)とは何を聞くのか
聞診(ぶんしん)は漢方医学の『四診』の1つで、漢方医学独特のものなので、なかなかイメージがつかないかもしれません。
患者から主訴などの話しを「聞く」のは、『聞診』ではなく『問診』ということであれば、『聞診』は何を聞くのかということになります。
ちなみに、患者から主訴などの話しを聞く際には、いろいろと質問をしていって聞き取ることから『問診』となるわけです。
漢方で言う『聞診』とは、患者の主訴をしゃべってもらって聞くのではなく、患者から出る『音』や『臭い』を聞くのです。
『臭い』を聞くというと、なんか比喩的表現になりますが、漢方医学では、『音を耳で聞き、鼻で臭いを聞く』という考え方になります。
音を聞くって何をどうやって聞くの
西洋医学で音を聞くとなると、聴診器を胸にあてて、心音を聞いたり、呼吸音を聞いたりしますが、漢方医学では、何も聴診器を使わずとも音を聞きます。
音といえば、その人の声も音になります。
はっきりとした力のある声をしていれば、気のめぐりが良くて充実していると判断できますし、声が小さくぼそぼそと話していれば、気虚や気滞ではないかと疑われます。また話の返事がスムーズでなければ気欝の状態なのではと判断されます。
返答が遅ければ、聴力が低下しているとか、理解力が低下しているとかで認知症などを疑ったりします。
肺胞や気管支の雑音が聞かれるのであれば、水毒や気虚を起こしていると判断でき、強い咳がでていてば実証、弱い咳ならば虚証となります。
お腹の音についても確認されます。お腹がグルグル胃腸が動いている音が聞こえるのであれば気血の滞り、みぞおちの当たりがチャポチャポという音がするなら水毒かもしれません。
臭いを聞くってどういうことなのか
聞診で、鼻で臭いを聞くという感覚は、西洋医学ではない漢方医学独特の感覚なのかもしれません。
患者の行きの臭いや大衆を嗅ぐことで、胃腸の働きや新陳代謝の状態を判断するひとつの要素になるのです。
臭いといえば、体臭、口臭、便、尿の臭いです。
例えば、口臭から胃腸の調子を判断したり、臭いの強い便であれば熱証が疑われたり、逆にあまり臭いがない便であれば実証が疑われたりします。
また、自覚症状でも、臭いがないのに気にしているようであれば気虚、逆に臭っているのに気にしていない様子であれば嗅覚低下や認知症が疑われたりします。