漢方といえば、『証』を判断するのが重要になってきます。
西洋医学では、視診や聴診をしたり、打診をしたり、さまざまな検査を行っていきますが、漢方でも問診から始まり、西洋医学が病名を診断するのに対して、漢方では『証』を見極めていきます。
西洋医学と漢方の診断
西洋医学では、風邪で発熱と咳があれば、その症状に対して解熱薬や鎮咳薬が処方されたりします。
しかし、漢方では、例えば、頭痛がしてうなじがこわばっていて、軽いさむけと発熱があり、汗は出ていて、脈は浮いているというような場合は、桂枝湯の証といった具合に、それぞれの細かい症状などを総合して『証』ととらえ、漢方薬が処方されます。
漢方で『証』を取るときには、『四診』で見ていきます。
『四診(ししん)』とは、望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん)になります。
望診は、「望んだ(臨んで)診る」ということで、患者と対峙して、そこから感じ取る印象とも言えます。
これにより、患者の病気の状況・状態の対局をつかみ、患者がもっている勢いを感じとっていきます。
漢方ではよく患者の舌をみて『証』を判断する舌診がありますが、この舌診も問診の一部になります。
目からだけでも多くの情報を得る漢方
漢方では、「肝は眼に開竅する」と言われていて、眼の所見は肝や胆の異常であることが多いとされています。
西洋医学でも、甘草が悪いと黄疸になってでてきて、目も黄色くなるといわれています。
目の望診
漢方での眼の望診では、白目が普通にしっかり白ければ正常、黄色くなっていれば湿熱の状態、充血していれば風熱の状態、くまがあったりすると血瘀の状態と言えます。
結膜が白く角膜が清明ならば正常です。
結膜が黄色っぽく角膜が混濁していれば湿熱といって、湿邪と熱邪が結びついた状況で、湿邪の長期停滞によって内熱が起こっている病状と考えられます。
結膜が赤く充血していて角膜が肉芽様になっている場合は風熱といって、風邪と熱邪にやられている状況になります。カゼなどで風邪と熱邪にやられている人の目をみると、結膜が充血しています。
結膜が青い場合は、血虚で血の栄養作用が低下した状態であることを示しています。
眼瞼がむくんで腫れていれば水湿と判断でき、臓腑の水代謝が障害されていると考えられます。
眼瞼が赤くなっていれば熱証、暗赤色であれば血瘀、びらんになっていれば湿熱と関係があるとされます。
目の中でも、結膜と角膜とまぶたをみただけでも、これだけいろいろな情報がつかめるのです。
これ以外にも、眼窩や目の周囲などいろいろなチェックで、こと細かに情報を得ることができるのです。