秋になると店頭に並び、季節を感じさせてくれる果物の一つである柿ですが、昔から俳句やことわざにもいろいろと登場しています。
そして、何よりも柿には優れた美容・健康成分が豊富に含まれています。
柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺
『柿』が出てくる有名な俳句の一つに、正岡子規の『柿くへば鐘が鳴るなり法隆寺』があります。
秋になり柿を目にするとこの句を思い出す人も多いかと思います。
これは、正岡子規が生涯にわたり20万を超える句を残した中でも有名な句で、俳句の代名詞的存在の句になっています。
ともすれば、「へぇ~、柿食ったらちょどタイミングよく法隆寺の鐘が鳴ったのね・・・」とすんなり読んでしまいがちですが、そこに俳句の味わい深い情景が歌われている句と言えます。
鐘の音の響く澄み渡った秋空、色ずく柿、落ち着いた古都の風情、奈良のすべてが自分を歓迎してくれているような瞬間をみごとにうたっています。
柿が赤くなると医者が青くなる
「柿が赤くなると医者が青くなる」ということわざがあります。
このことわざの意味は、柿が赤くなる秋は天候がよいので、体調を崩す人は少なく、医者は商売にならないので青ざめるという意味です。
しかし、栄養価にすぐれた柿の健康効果も、それを手伝っていると言われています。
他にも似たようなことわざとして、『柚子が黄色くなると医者が青くなる』、『橙が赤くなれば医者が青くなる』というようなものがあります。
肌を美しくする柿の効果
柿には、美容・健康成分であるビタミンCが豊富に含まれていて、みかん以上とも言われています。
柿1個で、ビタミンCの1日の目標摂取量を満たすほど多く含まれていて、肌の機能を維持するのに重要な役割を果たすコラーゲンを生成し、美肌を守る効果が期待できます。
ビタミンCは、免疫力を高め、風邪などの感染症予防にも有効です。
さらに柿には、ビタミンCだけでなく、優れた抗酸化作用をもつβ-カロテンも豊富に含まれていて、動脈硬化や糖尿病の予防にもオススメです。
また、柿の橙色をつくりだしている色素成分も体に良い機能性成分と言えます。
柿に赤味をつけているのは、赤色色素成分のリコピンですが、これはトマトに多く含まれる強い抗酸化作用を成分として有名です。
さらに柿に黄色味をつけているのはカロテノイド系色素であるクリプトキサンチンで、体内でビタミンAに変わり、ビタミンCとの相乗効果で抗酸化作用を高めます。
柿渋タンニン
柿の渋味は、ポリフェノールの一種であるタンニンで、このタンニンは、強い抗酸化作用があり、抗菌抗ウイルス作用があるとされています。
柿タンニンには、アルコールの分解作用があり、二日酔いにも良いとされています。
また、柿タンニンは、蛋白質を固める働きがあり、そのため皮なめしに使われていたりしたこともあります。