蓄膿症に効果がある主要な漢方処方は、辛夷清肺湯、葛根湯加川芎辛夷、荊芥連翹湯、柴葛湯加川芎辛夷、半夏白朮天麻湯、防風通聖散、麗沢通気湯加辛夷などがあります。
その中で、葛根湯加川芎辛夷は、辛夷清肺湯とともい良く用いられ、薬局に行ってもこの2つの漢方処方の製品は、だいたい置いてあったりします。
葛根湯加川芎辛夷とは
葛根湯加川芎辛夷ですが、何に効くのかというと、鼻閉(鼻づまり)、鼻茸、蓄膿症、後鼻漏といった鼻の炎症を抑えて治療する漢方処方になっています。
使用される目的は、副鼻腔炎か鼻づまりかといったところで、頭痛を伴うことがしばしばあります。
添付文書の効能を見ると、「比較的体力があるものの次の諸症:鼻づまり、蓄膿症(副鼻腔炎)、慢性鼻炎」となっています。
葛根湯加川芎辛夷の生薬構成
構成生薬をみてみると、葛根、麻黄、桂皮、芍薬、甘草、生姜、大棗、川芎、辛夷となっています。
「桂皮、芍薬、甘草、生姜、大棗」の5つは桂枝湯の構成生薬で、さらに葛根と麻黄を加えた「葛根、麻黄、桂皮、芍薬、甘草、生姜、大棗」の7つの生薬は、そのまま葛根湯の構成生薬と一致しています。
この7つの生薬に、川芎と辛夷の2つの生薬を加えたことから、『葛根湯加川芎辛夷』と名前そのままの構成生薬になっています。
葛根湯は無汗、つまり自然発汗がない場合に用いられますが、「葛根湯加川芎辛夷」については、あまり気にしなくてもという考え方もある一方、やはり「葛根湯」がベースの加減法なので、添付文書の効能・効果には記載がありませんが、葛根湯に準ずるべきで、頭痛や肩こりの症状に加えて鼻水が出たり、鼻づまりがあるものに対して使い、自然発汗がなく体力が比較的ある場合に用いるべき処方であるとされています。
辛夷という生薬
蓄膿症に使用される、「辛夷清肺湯」にも「葛根湯加川芎辛夷」にも配合されている生薬に「辛夷」があります。
『辛夷』は、モクレン科タムシバ、ハクモクレン、コブシ又はその他近縁植物の蕾で、鎮静・鎮痛作用があります。
生薬で『辛夷』といえば、ハクモクレンであったり、コブシ、タムシバも含みますが、日常で植物を表す漢字として「辛夷」を書いた場合、中国ではハクモクレンを浅い、日本ではコブシを指すことになります。
成分としては、マグノシニン、マグノサリンがあり、これらの成分が抗炎症作用があるとされています。
その他、鎮痙作用や精神安定作用をもつアルカロイドのコクラウリンやレチクリンなどが成分として知られています。