虫というと、駆除の対象となるものとして、不快害虫と衛生害虫があります。
衛生害虫の蚊
衛生害虫とは、ヒトやペットの衛生上に害を与える虫のことで、不快害虫とは、人間が生活していく上で、その存在を不快に感じる虫になります。
蚊は、ヒトや動物に対して伝染病の媒介ともなりえますので、衛生害虫になります。
一方、蜘蛛やヤスデなどは、ヒトやペットに衛生上の問題を与えるわけではありませんが、人間の主観的な事情により、近くにいるだけで不快に感じる不快害虫になります。
特に蜘蛛などは、人によってはむしろ害虫を食べてくれる益虫としてありがたいと思う人もいるくらいで、このあたりは本当に人の主観となるところもあり、虫の立場からしてみれば、別に人間に衛生上の問題を与えているわけでもなく、むしろ役に立っているのに、なんで不快害虫の烙印を押されなければならないんだとはなはだ迷惑な扱いをされているのかもしれません。
蚊の吸血
蚊といえば、人間から吸血するだけでなく、それにより伝染病の媒介にもつながることから衛生害虫にされているわけですが、人間やペットの血を吸うのはメスの蚊だけですし、そのメスの蚊も別に血液を主食にしているわけではありません。
蚊は、通常は花の蜜や草の汁などを主食としていますが、メスの蚊が栄養豊富な血液を吸うことで、卵巣を発達させ、子孫を残していくのに役立てているのです。
蚊の寿命は、だいたい2~3週間ほどで、その間に交尾をして産卵するという忙しい一生になっています。
産み落とされた卵は、数日でボウフラになり、脱皮を繰り返して1週間から10日ほどでオニボウフラと呼ばれる蛹になり、さらに3日ほどで、成虫になります。
蚊が人間を刺す針は、1本ではなく6本あります。
そして最初にその中の2本を使って、それでメスのように人間の肌を切り裂きます。
そして別の2本で肌が開いた状態を固定し、最後に残った2本の針を差し込んでいきますが、この2本のうち実際に吸血するのは1本で、もう1本の針は、唾液を注入していきます。
この唾液には麻酔成分があり、蚊に刺された時の痛みを感じにくくするため、蚊に刺されたのに、すぐに気づかないのです。
また血液の凝固を防ぐ役割もあります。
蚊は、いろいろな血液型の人から吸血しますが、通常、違う血液型が混ざると反応して凝固してしまうのではという疑問が生じます。
例えばA型の血液の血清中には抗B凝集素があるので、B型の血液と混ざると、B型の凝集原として反応し、凝集してしまいます。
しかし、蚊は唾液を注入することで凝固を防ぎ、その後、血液と同時に吸入し、吸入された血液は数時間で消化されて栄養になります。
蚊が医療に貢献?
実は、蚊の針に刺された時に、あまり痛みを感じないことから、この蚊が人間から吸血するときの一連の吸血メカニズムを応用したマイクロヌードルが開発されています。