高血圧は特定の疾患が原因となって起こってくる二次性高血圧と、いくつもの要因が重なって起こってくる本態性高血圧があります。
日本人の高血圧の約9割は、本態性高血圧と言われています。
本態性高血圧は、遺伝的な要因を含む体質、塩分や糖分・脂肪分の摂りすぎ、肥満、過度の喫煙や飲酒といったいろいろな原因で起こってきます。
日本人の高血圧と塩分・高齢者
特に日本人の場合は、塩分で血圧が上がりやすい『食塩感受性』という体質が多くなっていて、高血圧の予防や改善に食塩の摂りすぎを抑える減塩に配慮した食事、さらには体内の余分な塩分排出を促すための運動を生活習慣として見直していくということがよく行われています。
加齢とともに血圧があがり、高齢者に高血圧が多いというのは、血管も老化していくからです。
加齢とともに血管はしなやかさが失われていき、毛細血管の数が減り、全身に血をめぐらせるために、残った血管の負担が増えてしまい高血圧になってしまいます。
血圧を下げる重要なNOとは
NOといっても、YES・NOのNOではありません。
化学の授業で習った化学式でNO(エヌオー)というと、一酸化窒素になります。
NOは、硬くなった血管を拡げて柔軟にし、血圧を下げる働きがあります。
血液が血管の中を流れるとき、血管の一番内側には内皮細胞がありますが、この血管の内側の内皮細胞に血液が流れる力のずり応力という力による刺激が加わることで、NOが作られます。
作られたNOは、血管の中膜にある平滑筋をゆるめ、血管を拡張させることで、血流をスムーズにします。
血流がスムーズになれば、血圧も下がります。
NOは、血管を拡げて血圧を下げるだけでなく、血小板の凝集を抑える働きもあるので、血栓の形成も押さえ、その面からも血流を良くします。
また、体に炎症が起こるとNOを作る酵素がはたらいて、炎症を抑えて重症化を防ぐことも知られていますし、免疫系で大活躍するマクロファージでもNOは作られ、免疫力アップにも関係しています。
加齢とともに減るNO
NOは体の中のいろいろな場所で作られていて、私達の体が正常に機能するようにいろいろな作用を持っていますが、40代になるころには、NOの量は20代の半分にまで減ってしまいます。
さらに60代になると20代のときの35%にまでさがってしまいます。
それでは、どうすればいいのかというと、運動や呼吸法、食生活などの生活習慣を見直し、NOの産生量を増やし続けることが大切になってくるのです。
つまり、血流を良くすることを考えて生活をしていくことで、NOが増やせるのです。
NOを増やすストレッチ
NOを増やし、血圧を下げる方法は、柔軟に伸び縮みする血管を保っておくことが大切になってきます。
そこで血液を動かすことがカギになってくるのです。
簡単にできる方法として、関節ストレッチがあります。
特に膝の関節は、NOの産生力が高いので、膝の筋肉を意識して動かし、ストレッチすることで、高血圧の予防や改善にもつながります。
中でも膝裏を伸ばすストレッチは、手軽にできるのでオススメです。