西洋医学の「心」、東洋医学の「心」 | 健康トピックス

文学的に「心」というと、気持ちや精神的なもの、いわゆる真心とか邪心とかいう意味合いがあります。

医学的にいうと、心臓(heart)という臓器を表します。

heart という単語

英単語の「heart」という言葉を調べてみると、『心臓、胸、(感情、特に優しい心・人情が宿ると考えられる)心、(知・意と区別して)心、心情、気持ち、気分、愛情、同情心』と、いっぱい意味がでてきます。

感情や精神的なものを指す場合と、心臓という臓器を指す場合があります。

heart は、もともと心臓を表す言葉で、ラテン語の cor-、cardi-、cord- といった心臓という意味の語源に由来して生まれました。

医学英語の専門用語でも、 cardi- という接頭語などをみつけたら、それは心臓に関連した用語なんだなと推測がつきます。

心が動かされると、胸がドキドキする、心臓の鼓動ということから、そのイメージとして、心臓という意味の次に、いわゆる「心」という意味ももつようになっていきます。

「心」というと、heartではなく、mind という英単語もありますが、どちらかというと、heartが心が動かされる部分であるのに対し、mind は頭の働きを意味します。

頭、つまり考えや精神の部分、そこからくる心という意味であれば、mind が使われます。
同じ心でも、感情の動きからくる場合は heart、頭の考えからくる場合は mind が使われます。

心の病と心疾患

よく私たちが「心の病」という言い方をしたときは、いわゆる精神科の範疇に該当するようなものを連想します。

「心の病」は、精神活動や思考活動に関連したものになってきます。

一方、英語の heart からもわかるように、西洋医学では「心」といえば、心臓に関連した疾患や状態を表します。

「心疾患」といえば、精神科が担当する病気ではなく、心臓の病気ということになります。

東洋医学における「心」

東洋医学で「心」と言えば、まずは「肝・心・脾・肺・腎」の五臓六腑が連想されます。

五臓の「心」は、臓器ではありますが、西洋医学でいう「心臓」の役割のほかに、大脳機能や中枢神経系の機能ももつ生体の司令塔としての役割
も指します。

東洋医学では、『心』は、血液循環を司る働きと同時に、精神活動を司るものとして扱われています。

漢方では、精神活動や思考活動のことを『神明(しんめい)』あるいは『神(しん)』と呼びます。

具体的には、『心』は、記憶や学習能力、判断力や言語機能、睡眠や意識状態といった大脳機能や中枢神経系機能の働きに深く関係しています。

面白いことに、西洋医学の heart においても、中国医学における『心』においても、日本で日常的に使われている「心の病」と「心疾患」、いずれをとっても、『心』を意味する単語が、心臓と感情からくる心の変化の両方の意味を持っていることは興味深いところです。

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