診察室のドアをあけた瞬間からはじまる漢方 | 健康トピックス

テレビなどで名医特集などをやっていると、患者が診察室に入ってきた瞬間から、その姿勢や歩き方をチェックしていて、そこから得た情報を診断に役立てていたりします。

これは西洋医学に限ったことではなく、漢方でも同じです。

診察室のドアを開いたときから

漢方は、患者が診察室のドアを開けたときから診察がはじまっています。

ベテランの漢方医にもなると、患者が診察室のドアを開け、椅子に着席するまでの間に、たくさんの情報を集めてしまうと言われています。

患者を視覚を使ってその顔色や舌の状態はもちろん、姿勢や動作などを診る診察は、漢方では『望診(もうしん)』と呼ばれています。

望診は、漢方の診察方法である四診(望診・聞診・問診・切診)の中でも神業とも呼ばれていて、その代わり難しい診断法と言われています。

望診は、問診の間にも同時に行われたりもします。

問診の間の患者の姿勢や態度も観察されています。

見るだけでいろいろな情報がいっぱい

そんなに患者を一見するだけでいろいろな情報が得られるものなのだろうかという疑問もあると思います。

例えば、夏なのに患者が厚着をしてきたら寒証を疑いますし、冬なのに薄着できたら熱証が疑われます。

服装も判断材料の1つになっているのです。

体格だと、太っていれば実証、痩せていれば虚証というイメージがありますが、そんな単純なものではありません。

太っていても、がっちり引き締まっていれば正常かやや実証ということになりますが、太っていてもぶよぶよして締まりがなければ虚証です。

痩せていていかにも虚弱そうに見えるのであれば気虚などの虚証ですが、痩せていても筋肉がしっかりついて引き締まっていれば正常から実証といえます。

じっとして動かないような感じであれば、気虚や湿証、落ち着かない感じであれば肝風といって肝気の働きが悪くなっていたりすることが考えられます。

歩き方一つとっても、せかせか歩くのであれば熱証の可能性があり、左右に差があるのであれば麻痺や痛みがあると考えます。

寝返りも判断材料になる漢方

診断にいって、さすがに寝返りまではチェックできませんが、寝るときの姿勢だけでもいろいろと判断できるのが漢方です。

仰向けで寝てよく寝返りを打つ人は、陽・熱・実証、あまり寝返りを打たない人は陰・寒・虚証の傾向があります。

このように、望診は、体にいっさい触れることなく、問診のように聞き取った内容で判断するのでもないのに、ある程度患者の証を診てしまう、だからこそ神業とも言われる所以ですし、難しいのです。

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