食物アレルギーというと、その原因には、乳製品・鶏卵・小麦・蕎麦・落花生をはじめ、エビやカニ・木の実類などがありますが、年齢によって大きく異なってきます。
どんな食品で食物アレルギーが起きているのか
食物アレルギーを起こす食品の中で、もっとも報告件数が多いものはどうなっているのでしょうか。
もっとも食物アレルギーを起こすものというように考えた場合、より多く食されるものが上位にくるでしょうし、逆に報告件数は少なくとも、アレルギーを起こすと重い症状になるものもあるので、そういったものはより注意が必要になってきます。
日本において食物アレルギーの原因食品として報告件数が多くなっているのが鶏卵で、全体の1/3以上を占めています。
ついで2番目が牛乳で、3番目が小麦になっています。
この上位3つだけで、だいたい報告件数の2/3を占めています。
確かに、鶏卵も牛乳も小麦も多くの料理や加工食品に用いられていて、それだけ接触の機会が多いというのも、多くなっている一因になっているのでしょう。
一方で成人では、甲殻類による食物アレルギーが多くみられるようになっています。
食物アレルギーの起きるメカニズムは2つ
食物アレルギーは、生体防御システムである免疫の働きによって起こり、大きく2つのタイプがあります。
一つ目は、Ⅰ型アレルギーで、即時型アレルギー反応を起こすもので、食後2時間以内、おおむね30分程度でアレルギー反応が起こってきます。
食事をすると、蛋白質が消化酵素によって分解されて吸収されていきますが、一部の蛋白質は不完全な消化により大きなペプチドの状態で腸管から吸収されてしまい、これが腸管免疫系によって異物(アレルゲン)とみなされて、特異的なIgE抗体が産生してしまい、全身に存在している肥満細胞にあるIgE受容体と結合して感作し、発症します。
二つ目は、Ⅳ型アレルギーと呼ばれる遅延型のもので、食事をしてから6~8時間、場合によっては数日後に発症してきます。
リンパ球が関与していると考えられています。
口からだけじゃない食物アレルギー
食物アレルギーというと、食べ物を摂取して、消化管でアレルゲンが吸収されて腸管感作が成立し起こってくると考えられてきましたが、「茶のしずく石鹸」による小麦アレルギーが起こり、経皮感作が起こることが知られるようになりました。
「茶のしずく石鹸」では、石鹸に含まれている界面活性剤により皮膚のバリア機能が低下し、そこの石鹸に含まれていた小麦成分がアレルゲンとして皮膚バリアを通過し、表皮や真皮に侵入して体内に入り感作が成立してしまい、小麦を食べたときにアレルギー症状を引き起こしてしまいました。