麻黄の成分と薬効 | 健康トピックス

麻黄の起源植物は、その学名は、Ephedra sinica (エフェドラ スイニカ)になります。

起源植物和名は、シナマオウ(支那麻黄)で、中国では草麻黄(ソウマオウ)、英語では Chainese ephedra (チャイニーズ エフェドラ)と呼ばれています。

その他に、Ephedra intermedia Schrenk [合麻黄(アイマオウ):中国では中麻黄(チュウマオウ)]や Ephedra equisetina [木立麻黄(キダチマオウ):中国では木賊麻黄(モクゾクマオウ)]があります。

生薬としては、その地下茎が用いられます。

マオウの植物としての特徴

マオウは、植物学的には、グネツム目(Guetales)、マオウ科(Ephedraceae)、マオウ属(Ephedra)に属し、中国東北部からモンゴルにかけての乾燥地帯を中心に、インド、パキスタン、ロシアなどに自生している常緑小低木の植物になります。

スギナに似ていて、地上部の茎は草質ですが、茎の下部は地下茎と同様に木質化していて赤褐色になっています。

雌雄異株の植物で、夏に黄緑色の小さな花をつけ、偽果と呼ばれる休憩の果実をつけます。
葉は退化していて小さく、節の部分にあります。

マオウは砂漠の草と言われ、砂漠地帯や普通の樹木は生育が困難な岩の上などに生育するため、水分の蒸発を防ぐ必要があるため、表面積が大きい葉は退化して茎の節を取り囲むように鱗片状になっています。

生薬としての麻黄

麻黄は地上茎を生薬として使い、ラテン語では Ephedrae Herba(エフェドラエ ヘルバ)、英語では Ephedra Herb(エフェドラ ハーブ)と呼ばれています。

麻黄は、9~10月頃に草質の茎を刈り取り乾燥させます。

舐めるとやや渋くて苦く、やや舌を麻痺させるような感覚があり、色は黄緑であることから、麻薬の「麻」と黄緑の「黄」で『麻黄』とされたとも言われています。

一方、麻黄が配合されている小青竜湯の『青竜』は、マオウの草質の茎を刈り取った後、日陰で乾かしたときの色が青いということから、『麻黄』のことだと言われています。

細い円柱状で節があり、淡緑色から黄緑色や褐色をしていて、わずかに匂いがあります。

日本薬局方の基準だと、乾燥したものを定量するときに、エフェドリン、プソイドエフェドリンの総アルカロイドを0.7%以上含むとされています。

麻黄の薬効

麻黄の性味(セイミ)は、味は辛・微苦、性は温、帰経は肺・膀胱経になっています。

味は酸・苦・甘・辛・鹹(サン・ク・カン・シン・カン)のうちの辛・微苦になります。

漢方や薬膳で言う五味は、その生薬や食材がもつ実際の味で分類されているのではなく、その味がもつ機能によって分類されています。

従って、実際の味とは異なる場合もありますし、2つ以上の味を持っている場合もあります。

麻黄の五味である『辛』は発汗作用を促し、気を巡らせ、体の中にたまった寒さや熱、湿気を体の外に出すとともに、血液や津液も巡らせて体の調子を整える働きがあります。

また『苦』は排泄作用や体の中の余計な水分を取り除く機能があり、咳や喘息の改善に役立ち、熱を取る働きもあります。

五性は、体を温めるか冷やすかでいうと、寒・涼・平・温・熱(カン・リョウ・ヘイ・オン・ネツ)になりますが、麻黄は『温』で、働きは穏やかなものの体を温める働きをもった生薬になります。

『帰経(ききょう)』とは、生薬にはその効果が発揮される臓腑や経絡が決まっていて、麻黄の場合は、肺経・膀胱経に働きます。

『麻黄』の代表的な薬効を漢方用語で上げると、『発汗解表(ハッカンゲヒョウ)』・『止咳平喘(シガイヘイゼン)』・『利水消腫(リスイショウシュ)になります。

『発汗解表』は、発汗作用により体表にある寒邪や風邪を取り除く働きのことで、寒気がして発熱があり、喉の痛みや頭痛、筋肉痛など急性熱性疾患の初期に用いられます。

麻黄は生薬の中で発汗作用が最も強いほうの生薬で、さらに桂枝と一緒に配合することで、その発汗作用はより増強しますが、この麻黄と桂枝が配合された処方は、桂麻剤(けいまざい)と呼ばれることもあります。

桂麻剤の系列に属する漢方処方には、有名な処方が多く、葛根湯、小青竜湯、麻黄湯などが該当します。

ただ、麻黄は発汗作用が強いため、原則、表虚証(体質が虚弱で寒気と微熱があり汗をかきやすい)の場合は、発汗過多になるので、麻黄は用いません。

こうした場合は、桂枝が配合され麻黄は配合されていない桂枝湯などが用いられます。

『止咳平喘』は、咳や喘息、息切れや痰、胸のつかえなどの薬効になります。

麻黄を『止咳平喘』に用いる場合は、杏仁を合わせて処方して、平喘作用を強化することが行われ、処方としては五虎湯、麻黄湯、麻杏甘石湯、桂麻各半湯、小青竜湯加杏仁石膏などがあります。

『利水消腫』は、利尿作用によって体の中の余分な水湿を排出させて、むくみを改善していく薬効になります。

麻黄が利水消腫の目的で使用される場合、白朮と一緒に配合されるケースが多く、処方としては越婢加朮湯、五積散、防風通聖散などがあります。

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