毎日、規則正しい生活をといってもなかなかできないというのが現代人かもしれません。
人は、概日リズムといって、約24時間周期で変動する生理現象があり、これは人間も含めほとんどの動植物に存在しているリズムです。
言い換えれば、体内時計が作り出しているリズムで、このリズムによって自律神経やホルモン分泌などが行われていて、そのリズムが乱れることでいろいろと体に変調をきたすことになってしまいます。
このようにして変調をきたしてしまうものが、概日リズム障害と呼ばれるものです。
概日リズム障害の2つのパターン
概日リズム障害は、外因性のものと内因性のものという2つのパターンに大きく分けることができます。
外因性の場合は、体内時計の機能自体は正常に働いているのですが、社会的要請によって体内時計のリズムとは違った時間帯に睡眠をとろうとする、あるいはとらざるを得ないことから起こってきます。
外因性のものには、時差型、交代勤務型があります。
内因性の場合は、体内時計を昼夜24時間の環境に合わせることができないことから起こってくるものです。
内因性のものには、睡眠相後退型、睡眠相前進型、自由持続型、不規則睡眠(覚醒型)があります。
この概日リズム障害になると、睡眠時間がうまく調整できず、睡眠障害がおこり、眠気や作業能力の低下、疲労感などの症状が現れてくるようになります。
6タイプの概日リズム障害の原因と症状
時差型
時差型は、外因性のもので、時差がある地域に短時間で異動すると、体内時計が現地の明暗周期に順応して生体リズムを前進あるいは後退させることで起こってきます。いわゆる俗にいう時差ボケです。
しかし、人間の体が生体リズムを調製できる同調限界は1日あたり1~2時間と言われているために、しっかりと現地の時間に同期するまでには数日から2週間程度かかってしまいます。
この間に、不眠や日中の眠気などの症状がでてくるのが、概日リズム障害ということになります。
概日リズム障害になると、睡眠障害、眠気、作業能力低下、疲労感、食欲不振などがでてきます。
特に東行飛行のほうが時差ボケはひどくでやすいので注意が必要です。
交代勤務型
交代勤務型も外因性のものになります。
24時間社会となって、交代勤務で働く人も増えてきています。
シフトで、日勤と夜勤を交互で繰り返し働く人も増えてきていますが、こうした場合も時差型と同じような状態になります。
時差型は現地時刻に同調するために起きていましたが、交代勤務型は勤務時間帯が変化することで、生体リズムの同調が求められ、そこで順応しきれずに起こってきます、。
人間の体が生体リズムを調製できる同調限界は1日あたり1~2時間と言われていますが、日勤と夜勤のシフト後退が頻繁に行われている場合は、日勤からやっと夜勤に、あるいは夜勤からやっと日勤のリズムに慣れたころに、またシフトチェンジなんていうことになりかねません。
交代勤務をしている人の8割が睡眠障害を訴えているという推計もあります。
働き方改革ではありませんが、雇用する側もそのとろこはきちんと考慮する必要があるのかもしれません。
交代勤務型による概日リズム障害は、交代勤務を続けている間は症状が持続します。またひどい場合は、交代勤務をやめてもしばらく症状が持続することもあります。
睡眠相後退型
内因性の概日リズム障害になりますが、睡眠時間が生体リズムの遅れによって極端に遅くなります。
典型的な症状としては、明け方にならないと眠れず、昼頃にならないと起きてきません。
たとえ仕事や学校だからといって無理に起床したとしても、午前中はすごい眠気や集中力の低下、だるさ、頭重感などがあり、仕事や学業にも影響が出てきます。そして午後から夕方になってくると、これらの症状は消えていきます。
不登校や遅刻常習犯、頻回欠勤などの原因にもなっていて、社会問題にもなりかねません。
睡眠相前進型
内因性の概日リズム障害になりますが、いわゆる朝早く起きてしまうといったものになります。高齢者に多くみられます。
夕方速くから眠くなってきてしまい、早朝から目が覚めてしまいます。
自由継続型
ひきこもりや、通常生活を送っていた人が長期休暇などで昼夜逆転生活などを送った後に起こることもありますが、まれです。
寝る時間や起きる時間が甘い日ほぼ一定時間ずつ後退していくことによって、夜間の不眠や日中の眠気が起こってきます。
不規則睡眠(覚醒型)
先天性脳障害児や脳梗塞患者などが社会的接触の少ない環境に置かれると起こってくることがあります。
睡眠や覚醒の出現が昼夜を問わずに不規則になってくるのが特徴です。