睡眠時間に関連した遺伝子 | 健康トピックス

日本人は、ショートスリーパー(睡眠時間が短い)と言われていて、2021年の調べでは約7.3時間でOECD加盟国30カ国中最下位になっています。

イギリスが8.4時間、フランスが8.5時間、アメリカが8.8時間となっているので、彼らよりも1時間以上も睡眠時間が短いということになります。

睡眠時間が短い日本の実態

厚生労働省から出されている、平成30年「国民健康・栄養調査」の結果をみると、睡眠で休養が「まったくとれていない」と回答した人と「あまりとれていない」と回答した人を合わせた人は、全体の21.7%になっていて、5人に1人以上が睡眠で休養が十分にとれていないと感じているという結果になっています。

特に1日の平均睡眠時間は6時間未満と答えた人は、男性では30~50歳代、女性では40~60歳代の年齢層で4割を超えています。

この年齢だと、昇進して仕事が忙しくなったとか、子供が生まれて生活スタイルが変わったとか、年齢を重ねて朝早く目が覚めるようになったといったいろいろな睡眠時間での悩みや変化などがありそうですね。

睡眠時間の短さには遺伝子も関与している

実は、睡眠時間が長いか短いかは、仕事や生活スタイルといった環境要因が大きなウエイトを占めていますが、遺伝要因も2~3割ほど関与していると言われています。

米国ハーバード大学の研究グループでは、睡眠に関連があるとされている遺伝子を調べたところ、神経伝達物質ドーパミンに関わるDAT1遺伝子rs464049というSNPに「G」を持つ人ほど睡眠時間が短くなる傾向があることをつきとめています。

このrs464049には、GG、GA、AAの遺伝型があり、GGの遺伝型を持つ人は睡眠時間が短い傾向があり、GAの遺伝型を持つ人は睡眠時間がやや長い傾向がみられ、AAの遺伝型を持つ人は睡眠時間が長い傾向がみられました。

睡眠時間は年齢によって変化

歳をとってから、どうしても朝早く目覚めてしまう、睡眠時間が短くなったという人もいると思います。

これは普通なことで、人間は加齢とともに夜間の睡眠時間が変化し、10歳までは8~9時間、15歳で約8時間となってからは、25歳で約7時間、45歳で約6.5時間、65歳で約6時間となっています。

つまり、加齢とともに必要な睡眠時間が少なくなるという傾向があり、高齢者では若い頃に比べると早寝早起きになるのは普通なことです。

これは、体内時計が加齢により変化したためで、睡眠・血圧・体温・ホルモン分泌など睡眠を支える多くの生体機能リズムが前倒しになるためなのです。

さらに、多くの人が経験があると思いますが、睡眠時間は季節によっても変わってきて、冬は睡眠時間が長くなり、夏は短くなります。

睡眠時間は、遺伝子による影響もあり、個人差がありますが、日中に眠くなったり、休日に朝遅くまで寝ているというようなことがあれば、日頃から睡眠時間が足りていないというサインで、知らず知らずのうちに睡眠負債が溜まっている可能性があるので注意しましょう。

<参考:「健康づくりのための睡眠指針2014」(厚生労働省)>
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf

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