ジョークを楽しむことができる動物はヒトだけです。
そんなことを言い切れるかどうかはわかりませんが、少なくとも動物園などで人間に一番近いとされているサルやチンパンジーを見ていても、ジョークを楽しんでいるという姿は見たことがありません。
ヒトによって笑いのツボも違う
イロモネアというお笑いネタ番組があります。
お笑い芸人が一発ギャグ・モノマネ・ショートコント・モノボケ・サイレントの5つお笑いジャンルのネタを披露し、一般人の中から無作為に抽出した5人を笑わすことができるかという番組です。
抽出された5人の一般人の反応をみていると、ある人はケタケタ笑いころげ、ある人は苦虫をひっつぶしたような顔をしていたりします。
そして、これがネタが変わると、今までよく笑ってた人がそれほどでもなくなり、あまり笑わなかった人がすぐに笑ったりしています。
このように、ヒトのお笑いに対する感受性は、その人の環境や知性・知識、性格、さらにはその時の気分によっても大きく影響を受けます。
俗にいう、ヒトによって笑いのツボが違うというやつです。
でも、この笑いのツボの違いというのは、実際の脳に現れているのでしょうか。
ジョークは脳のどこで反応しているのか
ジョークに対する反応ですが、右脳の前頭前野が深く関係していると言われています。
参考:
Shammi, P, Stuss, DT. Humour appreciation: a role of the right frontal lobe.
Brain, 122: 657-666, 1999.
実際に、右脳の前頭前野に障害を受けた患者は、ユーモアやジョークをうまく理解できなくなってしまいます。
さらに、ユーモアやジョークの理解には、扁桃体や中脳辺縁系が関与しているという研究もあります。
ジョークに対する脳の反応については、いろいろな発見がされています。
ジョークに対する脳の反応の個人差
笑いには、その人の性格が影響しているのではないかということで、調査を行った研究があります。
スタンフォード大学のライス博士らの研究ですが、ユーモアへの理解度やジョークへの反応速度に関しては、性格の違いはないという結論がでています。
参考:
Mobbs, D, Hagan, CC, Azim, E, Menon, V, Reises, Al. Personality predicts activity in reward and emotional regions associated with humor.
Proc Natl Acad Sci U.S.A 102: 16502-16506, 2005.
外交的な性格であろうが、神経質な人であろうが、同じようにジョークを理解しているということになります。
ジョークに対する反応速度に関しては、差がなかったのですが、脳の反応には差がありました。
同じネタを聞いても、外交的な人が反応する脳の部位と、神経質な人が反応する脳の部位が違っていました。
つまり、同じネタを聞いても、ヒトによって脳が反応している部位が違うのです。
お笑い芸人のネタを見ていても、表向きはみんなケラケラ笑っていたとしても、その感じ方にはずいぶんと個人差があるということが想像できます。