人間の潜在能力の源になっている前頭前皮質 | 賢脳トピックス

潜在能力は、「表に出ていない、内に秘めた才能」という意味になり、まだ表面には表れていないために、周りの人はもちろん、その本人ですらその才能に気づいていないものです。

心理学者のウィリアム・ジェームズ氏は「人間はその潜在能力の5~7%しか活用していない」とも言っています。

脳の中で大きな力をもつ前頭前皮質

脳の中で、最も重要な役割を果たしているとして、脳の司令塔とか、脳の中の脳などと呼ばれているのが、前頭前皮質(prefrontal cortex:PFC)で、前頭前野などとも呼ばれたりします。

前頭前皮質は、脳にある前頭葉の前側の領域にあたり、人間の記憶などの知力面、感情の制御、行動の抑制など感情面など、さまざまな高度な精神活動を司っています。

つまり、知性・身体・感情を束ねて支配しているところが、前頭前皮質になります。

従って、単なる知性ではなく、思いやりや母性愛、分析力や決断力、抑制力などがバランスよく融合し、すばらしい想像力や潜在能力が発揮できるようになるのです。

目の前の課題を計画を立てて一歩一歩着実に目標に向けて処理していく能力、間違いを探しだし修正していく能力、変化に応じて対応していく適応力、細かい作業を行いながらも全体像も見失わない能力、こうした能力が発揮できるのも、前頭前皮質がある故であり、それゆえに、潜在能力が十分に発揮できるための土台を作っています。

前頭前皮質の力

前頭前皮質が持っている力は多岐にわたっています。

前頭前皮質は、自律神経をバランス、つまり交感神経と副交感神経のバランスを保ち、健康を維持していく役割があり、コミュニケーションを通して相手の心の状態を読み取って共感するというのも、前頭前皮質の役割です。

何かあったときに、一呼吸おいて複数の選択肢を検討できるのも、感情のコントロールをするのも、GABAを偏桃体に送り込み恐れや興奮を鎮めるのも前頭前皮質の働きによります。

そしてこれらは、使い込めば使い込むほど進化し成長していきます。

やさしさ・思いやり・道徳力

人間は、過去の記憶を蓄積している海馬の感情情報を手掛かりにして、現在・過去・未来をつなぎ合わせ、将来を洞察する洞察力を発揮し、他人の感情をも推し量ったりすることができます。

そして、相手の身になって状況を見たり感じたりして、相手の見解を理解することができます。

だからこそ、これが人間の人間たるゆえんです。

人間は進化するにつれ、脳はやさしさや思いやりや愛情、安らぎや連帯感を司る回路が脳に刻まれていき、種として生き残ることができました。

こうしたものは、母子の深い愛情の絆などによっても育っていき、心の受け入れ態勢が整ってくれば、前頭前皮質のもつ能力が一気に開花し、充実感が味わえるようになってきます。

そして、前頭前皮質には、後天的に環境などの影響もうけ、道徳性を育てていく力、自分のことばかり考えず、どんなときも、一人でいるときでさえ、全ての人にとって最善策を考えて行動できる力を発揮する役割もあります。

前頭前皮質の多岐にわたる素晴らしい能力をご紹介してきましたが、だからこそ、前頭前皮質は「脳の中の脳」と言われるのかもしれません。

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