想起と再生の違い | 賢脳トピックス

ものを覚えるとき、特に単語や専門用語を覚えるとき、単に「A=B」のようにして覚えるとなかなか覚えられないことがあります。
この覚え方だと一見無駄がなく効率が良い感じですが、覚えるときはそれに合わせて付帯情報やエピソードなども覚えるとかえって覚えやすくなるのです。

『想起』というと記憶の三段階「記銘」・「保持」・「想起」のうちの最後の三段階目になります。
コンピューターにあてはめると「符号化」・「貯蔵」・「検索」ということになるのでしょう。
平たく言えば、「入力」・「貯蔵」・「引き出す」といったことになります。

「記銘」・「保持」・「想起」

『記銘』つまり入力がうまくいかなければ、それを引き出そうにもそもそも知識としてインプットされていないわけですから、『想起』つまり出力のしようがありません。
学生で中間試験や期末試験のときは覚えていたのに、その後復習・反復せずにいて模試試験などでは忘れていたというのは『保持』がうまくいっていなかった例になります。
そして、ここまで出かかっているのに出てこない・思い出せないという場合は、頭の中にはその意味やイメージが明確にあるのに、用語・言葉が出てこない、名前が思い出せないといったことがあり、これがいわゆる『想起』つまり引き出しがうまくいっていない状態です。

想起は記憶の中でも一番大切

実際に、いくらしっかりと記銘していても、保持していても、きちんと想起できなければ、覚えていないということになります。
若いうちはともかく、歳をとってくると、この想起力が記憶力ということから言うと重要なポイントになってきます。

年齢を重ねていくうちに知識はどんどん増えていくので、学生のころはいろいろなことを勉強し記銘・保持ということも大きなポイントでしたが、社会人になるとどちらかというと想起力がネックになってきたりします。

社会で役に立つのは再生力ではなく想起力

『想起』というと覚えて知識を引き出すいわゆるアウトプットということで、『再生』と同じような感じで考える人もいますが、若干違います。

『再生』はテープレコーダーの再生のように、録音した内容をそのまま出力することになります。
昔は、物知りが尊敬される時代でしたが、そういう時代では単なる「再生」でも良かったのですが、現代では本に書いてあることを単に知識としてそのまま覚えても、そんなことはコンピューターに記憶させておけばいいということで、以前に比べ物知りがそれほど尊敬されなくなってきました。

よく物知り芸人さんなどがテレビのクイズ番組にでて、ポンポンとクイズに答えているシーンなどを見ます。確かによくいろいろなことを知っているなと感心させられるのですが、それじゃその物知り芸人さんが、漫才やコントで面白いネタができるかというと、必ずしもそうではありません。
それだけ多くの知識が頭の中にインプットされているのであれば、それを漫才やコントに応用したほうが、本来の芸人としての実力はついてくると思います。

覚えるときは単なる再生ではなく、付帯情報もからめた想起

この実際に覚えた知識を単にそのままアウトプットするのが再生で、要するにクイズ番組のクイズに役立つ知識になります。
『想起』は、そこに情報の加工能力が必要になってきます。
その知識から派生するいろいろな知識や、またはエピソードなどをからめて覚えられた知識です。

たとえば、ボジョレー・ヌーボーという言葉を覚える「再生」よりも、そのヌーボーにまつわるいろいろなエピソード・付帯情報も一緒に覚えるほうが、知識も深まるし言葉自体も覚えやすくなります。これが「想起」になります。

先ほどの芸人さんの話でいうと、例えば、何か時事問題として新しい単語があったとすると、単にその単語を覚えてだけだとクイズ番組ぐらいにしか役に立ちませんが、その時事問題ででてきた言葉の付帯情報まで覚えたり、エピソードをつくったりすると、そこから新しい発想やネタがでてくるというわけです。