歳を重ねるとともに、「最近、物忘れが多くなった」、「この頃、なかなかものの名前が出てこないんだよな」ということを自覚する人が増えてきます。
そして、認知症が始まっているのではないかと不安になったりします。
物忘れと認知症
認知症になると、記憶力はもちろん、注意力、判断力、計画力など認知機能障害が起き、これらが比較的発症早期に現れてきます。
これが進むと、異常興奮や徘徊、暴力といった異常行動となってきます。
認知症の早期に現れてくる症状の一つに、記憶力の低下、いわゆる物忘れがあります。
実際に、認知症の症状は物忘れから始まることが多く、そのうちに徐々に注意力など他の認知機能が低下していくことが多くなっています。
この『物忘れ』は、「なかなか思い出せない」とか「名前が出てこない」といったように自覚があるので自分で気づきます。
だからこそ、認知症になりかけているのではないかと心配する人も出てくるのです。
物忘れがあるからといって認知症初期とは限らない
物忘れがあるからといって、それだけをもって認知症の初期かというと、そういうわけではありません。
テレビに出てきた俳優さんや女優さんの名前がとっさに出てこないということはないでしょうか。
手紙を書いていて、昔は書けていたはずの漢字が思い出せず書けないことがあったというようなことはないでしょうか。
でもこうした物忘れがあったからといって、それが認知症の初期であるということはないのです。
こうしたようなことは、多かれ少なかれ誰にでもあることです。
認知症を心配すべき物忘れ
しかし、中には認知症の初期ではないかと疑うべき物忘れもあります。
それは、1~2日前に体験したことを思い出せなかったり、忘れてしまっていたりすることです。
例えば、昨夜、誰とどこで内を食べたかというような一つの出来事を、まったく忘れてしまっていて思い出せないといった場合です。
こうした、エピソード記憶の障害がみられた場合は、認知症の初期といった場合があるので要注意です。
アルツハイマー型の認知症の進行具合
アルツハイマー型の認知症の場合、昨夜誰と何を食べたかというような、近々のエピソード記憶の障害がみられてきます。
初期の段階では過去の記憶であったり、自転車に乗るといった動作的記憶は残っています。
注意力や判断力にも大きな障害がないため、正常に日常生活は営めますが、軽度認知障害と言えます。
つまり、正常と認知症の境界にある状態です。
この状態を早く察知して、対応していくことが大切になってきます。