英語の否定表現は、慣れていないと誤訳のもとになりやすいポイントになります。
紛らわしいポイントをいくつか挙げてみます。
I don't like him very much.
完全否定ではなく、部分否定の例文から見ていきます。
I don't like him very much.
部分否定を理解していないと、この文は、
「私は、彼が全然好きではない。」という意味か、「私は、彼があまり好きではない。」という意味か、いずれか迷ってしまうかもしれません。
正解は、「私は、彼があまり好きではない。」になります。
not という言葉の後に、all、always、necessarily、very much、both といった言葉が来た場合は、部分否定になります。
これをもとに、部分否定の例文を上げてみます。
He doesn't always get up late.
(彼はいつも寝坊するわけでなない。)
The rich are not always happy.
(金持ちが必ずしも幸福であるとは限らない。)
考え方のポイントとしては、「~というわけではない」と考えるのです。
not ~all なら、すべてが~というわけではない
not ~always なら、いつも~というわけではない
not ~necessarily なら、必ずしも~というわけではない
not ~very much なら、あまり~というわけではない
not ~both なら、両方ともが~というわけではない
完全否定には、よく「決して~ない」という意味でnever が使われますが、例文を挙げるとこんな感じになります。
I never speak English.
(私は決して英語を話しません。)
Not の力
Notは、文中にでてきていても、文全体を否定する力を持っている単語なのです。
例を挙げてみると
All the members did not agree.
(すべてのメンバーが反対した。)
これは、完全否定の文として意味をとった訳し方で、もちろん正解です。
しかし、Not は文中でも文全体を否定する力も持っているので
(すべてのメンバーが同意したということではない。)と訳しても間違いではないのです。
もし、メンバは誰も同意しなかったと言う場合は、誰もないという意味で No を使い、
No members agreed.
(メンバーは誰も同意しなかった。)
とすると紛らわしくなくてよいでしょう。
単語の順が入れ替わっただけでニュアンスが違ってくる
I really don't like her.
I don't really like her.
この2つの文章は、難しい単語は一切使われておらず、違いは really と don't の語順が逆になっているだけです。
こうした場合、[]でくくって考えると理解しやすくなります。
上のほうの文章は、
I really [don't like her].
私は、本当に[彼女を好きではない]となり、(私は、彼女のことが本当に好きではない。)
つまり、ニュアンス的には、「彼女のことがとても嫌い」ということになります。
下のほうの文章は、
I don't [really like her].
私は、[彼女をとても好き]というわけではないとなり、(私は彼女のことがそれほど好きではない。)
つまり、ニュアンス的には、「彼女のことが嫌いとまではいかない」というレベルになります。