緊急事態でも避難しない多元的無知 | 賢脳トピックス

近年では、たびたび集中豪雨もみられ、緊急事態にもかかわらず避難が遅れて、救助隊の助けが必要になるケースも多くみられます。

避難情報に関するガイドライン

気象庁では、住民は「自らの命は自らが守る」意識を持ち、自らの判断で避難行動をとることが大切だとして、「避難情報に関するガイドライン」が出ています。

参考:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/alertlevel.html

防災気象情報をもとにとるべき行動と、相当する警戒レベルについてということで、警戒レベルを1~5の5段階に分けるとともに、危険度分布などをキキクルなどのサイトで情報発信しています。

参考:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/riskmap.html

昔あった『避難勧告』は廃止し、警戒レベル4『避難指示』ということになり、必ず
避難ということになっています。

ちなみに、『避難』といっても、近くの小中学校や公民館に行くことだけが避難ではありません。

安全な親戚・知人宅への避難、安全なホテルなどへ避難、その他屋内での安全確保も避難になります。

状況をみて判断することが大切です。

現状を認識していないのが問題

緊急事態であるにもかかわらず、なかなか人が避難しないのは、今現在起きていること、またはこれから起ころうとしていることに対して、それを緊急事態であると認識していないというところにあります。

近所の人が避難をしていれば、これは危険かなと感じて避難しますが、周りで誰も避難していないと、大丈夫だろうと考えて、自分も避難を躊躇してしまうということがあります。

このように、他人が行動しないことが、自分の不安や懸念を抑えて、たぶん大したことにはならないだろうと避難を躊躇してしまうことを、『多元的無知』と言います。

多元的無知の研究

『多元的無知』については、インタビューの名目で2~3人の学生を部屋に入れアンケートに記入してもらい、ほどなく、換気口から室内に煙が流れ込むようにします。

この実験のターゲットは実は1人で、他の人は仕込みで、仕込みの学生は煙が室内に充満しても特に気にする様子もなく平然とアンケートに記入を続けます。

このような場合、学生は、参加者が自分だけの場合は、55%が2分以内に煙のことを研究者に報告しましたが、仕込みの学生が1人・2人いると、2分以内の報告が12%となり、4分経過しても報告する割合は変わらなかったそうです。

他人が行動しないことで、大した事態ではないと考えたのです。

『避難勧告』というものが廃止され、『避難指示』というものに変わったのも、こうしたことも大きな要因になっているのでしょう。

もし、その場にいるのが自分一人だったらという視点も、大切なのかもしれませんね。

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