赤ワインを飲むと認知症の予防になるのか | 賢脳トピックス

赤ワインを飲むと認知症の予防になるという、酒好きの人にとっては朗報ともいえるべきことが言われていますが、実際のところはどうなのでしょうか。

赤ワインを飲むと認知症の予防になる?

赤ワインを飲むと認知症のリスクが5分の1になるという話は、フランスのボルドー大学中央病院の研究チームの論文がもとになっていると考えられます。

フランスのボルドー大学中央病院の研究チームは、65歳以上の3777名に対して、死亡率、認知症、アルツハイマー症のリスクと、飲酒量の関係を3年間にわたり調査して論文発表しました。

それによると赤ワインを毎日3~4杯(375~500mL)飲んでいる人は、飲んでいない人に比べ、認知症の発症リスクが約5分の1になるという結果になっています。
さらには、アルツハイマー症の発症リスクが4分の1、死亡率が約30%低下していたという結果も出てきます。

赤ワインを飲む量 人数 オッズ比 95%信頼区間
飲まない 971 1
少し飲む 922 0.81 0.50~1.30
中ぐらい飲む 318 0.19 00.5~0.66
たくさん飲む 62 0.31 0.04~2.42

飲まない:1日グラス1杯未満(0~125mL)
少し飲む:1日グラス1~2杯(125~250mL)
中ぐらい飲む:1日グラス3~4杯(375~500mL)
たくさん飲む:1日グラス5杯以上(625mL以上)

オッズ比は、起こりやすさを示すもので、ワインを飲まない人の認知症のなりやすさを1とした場合、赤ワインを中ぐらい飲む人が認知症になりやすさは0.19、つまり認知症のなりやすさが約5分の1というわけです。

(参考:Rev. Neurol. (Paris): 153(3),185-192,1997)

考えられる一つの機序としては、赤ワインに含まれているポリフェノールの抗酸化作用によるものだとも考えられますが、逆に大量の飲酒はかえって認知症のリスクを高めてしまいます。

赤ワインで記憶力アップ?

さらに、赤ワインの脳の関係でいうと、別の研究として、1999年、イタリアのミラノ大学の研究チームが、「毎日グラス1杯半のワインを飲み続けると、記憶力の回復に効果があり、アルツハイマー病などの神経細胞の変性が原因とされる病気にかかりにくくなる可能性がある」という発表をしています。

赤ワインに含まれるレスベラトロールが外界刺激を伝達する酵素である「MAPキナーゼ」を7倍活性化し、脳の細胞同士を結び付ける作用をするためだとしています。

(参考:M.Miloso,A.A.E.Bertelli, et al.:Neurosci. Lett.,264,141-144,1999)

NHKのガッテンでは赤ワイン1杯

一方、NHKのガッテンでは、『これが世界最先端!“認知症”予防SP』という特集をやっていて、その中で、2015年、ラッシュ大学医療センター(アメリカ・シカゴ)の研究でアルツハイマー病を予防する食事法、通称・マインド食なるものが紹介されていました。

http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20170517/index.html

それによると、《積極的に取るとよい食材》として赤ワインは1日1杯までとなっていました。

認知症予防には、赤ワインは1日3~4杯なのか、1杯程度までなのか

赤ワインを毎日3~4杯で認知症のリスクが5分の1というのは、、これはむしろ、赤ワインを飲むような地中海式の食事全体での影響が大きいと考えられます。

オリーブオイルを使った野菜法部な料理、タンパク質を多く含むチーズなど、健康的な食生活の中で赤ワインを飲んでいたと考えられる面もあります。
ワインを含むアルコールを適度に楽しむというのが良いのでしょう。

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