TOEICが大大学入試センター試験に代わって2020年度に始まる大学入学共通テストの英語の民間資格検定試験から撤退しました。
もう既に社会人になってしまっている人、大学生になってしまっている人にとっては、『大学入学共通テスト』なんて聞いても関係ないので、何のことだろうと思う人がほとんどだと思います。
2021年1月からセンター試験が大学入学共通テストに代わる
ニュースにもなっているので、知っている人もいるかと思いますが、今までの『センター試験』に代わるものといえばイメージできるかもしれません。
センター試験は、2020年1月に実施されるのを最後に廃止されます。これに代わって2021年1月からは新たに大学入学共通テストというものが実地されます。
ただ単に名前は『センター試験』から『大学入学共通テスト』と変えただけではなく、『センター試験』からの大きな変更点として、これまでのセンター試験になかった記述式問題が導入されます。
大きく変わる英語のテスト
今まで、センター試験では、英語力としては、読む力と聞き取る力がテストされていました。
ところが、グローバル化が急速に進展している中、英語でのコミュニケーション能力が重視されるようになり、大学入学共通テストでも、英語については4技能(読む・聞く・話す・書く)が評価されることになったのです。
しかし、センター試験のような大規模な集団に、同日に一斉に「読む」「聞く」に加えて「話す」「書く」に関する試験を実施するのは難しいものがあることから、すでに4技能評価を行っている民間の資格・検定試験を活用することが検討され、候補として次の試験が挙げられていました。
TOEIC
ケンブリッジ英語検定
実用英語技能検定(英検)
GTEC
IELTS
TEAP
TEAP CBT
TOEFL iBT
しかし、TOEICを実施するIIBCは大学入学共通テストからの撤退を表明しました。
その撤退理由については、受験申し込みから実施運営、結果提供に至る処理が当初の想定よりも複雑になることが判明したからとしています。
大学入学共通テストの英語における民間試験利用の問題点
今回、年間の受験者数が約340万人である英検について、約120万人と多いTOEICが撤退したことで、より大学入学共通テストにおける英語試験の在り方についての問題点が浮き彫りになりました。
そもそも各試験の内容が異なるということを理由に、全国に82校ある国立大の中でも北海道大、東北大、京都工芸繊維大では、公平性に問題があるなどとして活用しないことを決めています。
TOEIC、英検、TEIFLなどの試験の目的を考えれば、大学入学共通テストの英語の試験に、大学入試とは全く異なった目的の民間の英語試験を導入すること自体、おかしな話です。
TOIECは、ビジネスの場において実践的なコミュニケーションスキルを測るために作られたもので、実際のビジネスシーンを想定した形のテストになっています。
TOEFLは、留学する際に身につけておくべき英語スキルを試す試験になっています。
それぞれ大学受験を想定した試験ではありません。
しかも、同じ民間試験を受けるならともかく、別々であればそれを公平に評価すること自体難しいのです。
本来であれば、統一した試験で公平に評価すべきではないでしょうか。
また、大学入試とは違った目的で行われている民間試験を利用するというのは、本来の目的とは違いますのでどうなのでしょうか。
TOEICを実施するIIBCが大学入学共通テストから撤退した理由がありますが、それは表向きの話であって、本来TOEICは大学入学のための能力を図るためのものではなく、それを文科省という権力で上から目線で勝手に決めるんじゃないという思いもあったのかもしれません、また民間の英語試験を活用しないとする北海道大、東北大、京都工芸繊維大の考え方のほうがまっとうだと思います。
東京五輪のマラソン選手選考も公平さを保つために共通のレースを行うことになっていますが、一生を左右しかねない大学受験においても、公平性を保つことから行うのであれば、統一の試験で実施すべきではないでしょうか。